「急性上気道炎」とは、のど・鼻・気管など、空気の通り道(上気道)に炎症が起こる病気です。いわゆる「喉風邪」とも呼ばれ、風邪の中でも特に喉の痛みや咳などが目立つタイプです。秋から冬にかけて最も流行しますが、春や夏でも流行することがあり、年中注意が必要です。このページでは、急性上気道炎の特徴について、わかりやすくまとめました。
原因は?
ほとんどの場合、原因はウイルス感染です。よくあるウイルスには次のようなものがあります。
- ライノウイルス
- コロナウイルス(※新型コロナとは別の種類)
- アデノウイルス
- インフルエンザウイルス など
ウイルスは咳やくしゃみ、手を介してうつります。寒暖差や疲れ、睡眠不足で免疫力が落ちていると、感染しやすくなります。
流行しやすい季節
秋から冬にかけて(9月〜2月)
- 最も一般的な時期です。冷えて空気が乾燥し始めると、ウイルスは安定しやすくなり、人が屋内に集まりやすくなるため、感染が広がりやすくなります。
- 特に北半球では、ライノウイルスやコロナウイルス、RSウイルス、インフルエンザなどが活発化し、咳・喉の痛み・鼻づまりなどの症状が増えます。
春(3月〜5月)
- ライノウイルスやヒトメタニューモウイルスなどが活発になる時期です 。
- 冬場ほど重症化しにくい傾向がありますが、注意が必要です。
夏(6月〜8月)
- 全体としてウイルス性の感染は少なめですが、エンテロウイルスやアデノウイルスによる「夏風邪」が流行することがあります。
主な症状
- のどの痛み(ヒリヒリ、イガイガ)
- 咳、痰(たん)
- 鼻水、鼻づまり
- 発熱(高くても38℃台)
- 全身のだるさ
※細菌感染が合併している場合、症状が長引いたり、膿のような痰が出ることもあります。
診断と治療
診断
多くの場合、症状や診察で診断します。特定のウイルス(インフルエンザ、新型コロナウイルスなど)を除いて、検査で感染しているウイルスの種類まで特定することは困難ですが、一般的なウイルス感染に関しては、治療法が変わることはないため、原因を特定する必要性は低いです。
治療法(抗ウイルス薬や抗菌薬)がある原因を特定するため、必要に応じて迅速検査を行うことがあります。
治療
- ウイルス性の場合:自然に治ることが多いため、基本は「対症療法(症状を和らげる治療)」が中心です。
- 解熱鎮痛薬(のどの痛みや発熱を抑える)
- 咳止め・去痰薬(咳や痰をやわらげる)
- 漢方薬(体力や症状に応じて使い分けます)
- 抗ウイルス薬(インフルエンザや新型コロナウイルスに対して使用します)
- 細菌感染が疑われる場合:必要に応じて抗生物質を使用します。
自宅で出来る対策
上気道炎への一番大切な対策は、しっかりと体を休めて、十分な栄養を取ることです。
薬を飲むだけではなく、体力を回復するために、しっかりと対策を行いましょう。
- こまめな水分補給
- 十分な睡眠と休養
- のどを温める・うがいをする
- 加湿
受診の目安
次のような場合は、早めの受診をおすすめします:
- 高熱が3日以上続く
- のどの痛みで飲食が困難
- 呼吸が苦しい、声が出ない
- 黄色や緑色の痰が続く
- 基礎疾患(喘息、糖尿病など)がある
まとめ
- 急性上気道炎(喉風邪)は、ウイルスによる一過性の炎症で、特に秋〜冬にかけて流行します。
- のどの痛み・咳・鼻水・軽い発熱が主な症状で、ほとんどは自然に治る病気です。
- 治療の基本は、休養と対症療法(痛み止め・咳止め・漢方など)です。
- こまめな水分補給・睡眠・加湿・手洗いが、回復と予防の鍵になります。
- 「長引く高熱」「強い喉の痛み」「息苦しさ」などがあれば、早めに受診をしましょう。
季節の変わり目に体調を崩しやすい方は、日頃から免疫力を高める生活習慣を意識することが、喉風邪に負けない体づくりの第一歩になります。
いろはなクリニックでは、患者さんの症状や体質に合わせた治療法をご提案しています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。