「急性上気道炎」とは、鼻やのど、気管などの空気の通り道(上気道)に炎症が起きる病気です。いわゆる「喉風邪」とも呼ばれ、子どもにとっても非常に一般的な感染症の一つです。鼻水や咳、のどの痛み、微熱などの症状が中心で、多くは自然に回復しますが、年齢や体力によっては重症化することもあるため、注意が必要です。
このページでは、小児にみられる急性上気道炎の特徴や対応方法をわかりやすくご紹介します。
原因は?
ほとんどの場合、原因はウイルス感染です。よくみられるウイルスには、次のようなものがあります:
- ライノウイルス
- コロナウイルス(※新型コロナとは異なる、一般的な風邪のウイルス)
- アデノウイルス
- ヒトメタニューモウイルス
- RSウイルス
- インフルエンザウイルス など
ウイルスは、咳やくしゃみの飛沫、または手を介してうつります。保育園・幼稚園・学校などでは、接触の機会が多いため、特に感染が広がりやすくなります。
流行しやすい季節
- 秋〜冬(9〜2月)
乾燥や寒さによってウイルスが活発になり、風邪やインフルエンザが流行します。子どもたちが集団生活をしている場では、次々と感染が広がることがあります。 - 春(3〜5月)
ライノウイルスやヒトメタニューモウイルスなどが流行します。症状は比較的軽めですが、咳が長引くケースもあります。 - 夏(6〜8月)
風邪は少なめですが、「夏風邪」としてアデノウイルスやエンテロウイルスが流行することがあります。のどの強い痛みや目の充血、下痢・嘔吐を伴う場合もあります。
主な症状(小児の場合)
- 鼻水(透明~黄色)
- 咳(乾いた咳や痰を伴う咳)
- のどの痛みや違和感(乳幼児では「機嫌が悪い」と表現されることも)
- 発熱(38〜39℃程度)
- 食欲低下
- 元気がない、眠りが浅い
※乳幼児では、はっきりと症状を訴えることが難しいため、「ぐずる」「ミルクを飲まない」「熱が続く」などのサインに注意が必要です。
診断と治療
診断
ほとんどの場合は、診察時の症状やお話から診断されます。特定のウイルス(インフルエンザや新型コロナウイルスなど)に関しては、迅速検査を行うことがあります。
治療
ウイルスが原因の場合は、自然に治ることが多く、対症療法が基本となります。
- 解熱鎮痛薬(発熱やのどの痛みに)
- 咳止めや去痰薬(咳をやわらげる)
- 鼻水の薬
- 漢方薬(お子さんの体質や症状に応じて使うこともあります)
細菌感染が疑われる場合や症状が長引く場合は、抗生物質を使用することもあります。
ご家庭でできる対策
- 十分な水分補給(母乳・ミルク・お茶・経口補水液など)
- 安静に過ごす
- 部屋の加湿と換気
- 鼻水はこまめに吸引(特に乳幼児)
- のどを潤すために、うがい(できる年齢であれば)
※解熱剤は、医師の指示に従って適切に使いましょう。
受診の目安
次のような場合は、早めに医療機関を受診してください:
- 呼吸が苦しそう、ゼーゼーしている
- ぐったりしている、元気がない
- 水分がとれない、おしっこが少ない
- 熱が3日以上続く
- 痰や鼻水が黄色・緑色で長く続く
- 咳が長引く、夜間に激しく咳き込む
まとめ
- 急性上気道炎(喉風邪)は、小児にとって最もよくある病気のひとつです。
- 主な原因はウイルスで、季節により流行するウイルスが変わります。
- 多くは数日で自然に治りますが、症状が強い・長引く場合は医師の診察が必要です。
- 十分な休養・水分・加湿・栄養が、早い回復のポイントです。
いろはなクリニックでは、お子さんの年齢や体質、生活環境に応じたケアをご提案しています。小さなお子さんの体調は変化しやすいため、ご不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。