糖尿病とは、血液中の糖(血糖)が慢性的に高い状態が続く病気です。血糖値を調整するホルモン「インスリン」の働きが不足することが主な原因です。進行すると合併症を引き起こし、生活の質や寿命に大きく影響することがあります。ここでは、糖尿病の基礎について、わかりやすく解説していきます。
糖尿病の種類と原因
糖尿病は大きく2つのタイプに分かれます。
1型糖尿病
・主に子どもや若年者に多い
・自己免疫の影響で、インスリンを作る膵臓の細胞が破壊されます
・インスリン注射が生涯必要になります
2型糖尿病
・日本人に多く、中高年に多いタイプ
・「遺伝的な体質」+「生活習慣(食べすぎ・運動不足・肥満)」が原因
・初期は自覚症状がなく、気づかないうちに進行します
糖尿病の診断
糖尿病かどうかは、血糖値とHbA1c(過去1~2ヶ月の平均血糖値)を組み合わせて判断します。
糖尿病型と診断される数値(いずれか該当)
- 空腹時血糖:126mg/dL以上
- 食後(随時)血糖:200mg/dL以上
- 75g糖負荷試験(OGTT)2時間後:200mg/dL以上
- HbA1c:6.5%以上
※これらの数値を、1回の検査で確認+症状(多飲・多尿・体重減少など)がある場合、あるいは2回の検査で確認できれば、糖尿病と診断されます。
糖尿病の治療
治療の目的は、「合併症を防ぎ、健康寿命をのばすこと」です。
治療の基本は3本柱
- 食事療法
- 適切なカロリー制限とバランスのよい栄養
- 野菜を先に食べる「食べ順」も効果的 - 運動療法
- 1日20分以上のウォーキングなどの有酸素運動
- 軽い筋トレを組み合わせると効果UP - 薬物療法
- 血糖値や合併症リスクに応じて薬を選びます
- 最近はSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬など、心臓・腎臓を守る薬も登場
インスリン治療が必要な場合
以下の場合、インスリンが必要です。
- 1型糖尿病
- 高度の高血糖(300mg/dL以上)
- 妊娠中、重い感染症、手術前後
- 血糖コントロールが薬だけでは不十分なとき(HbA1c 9.0%以上)
低血糖とシックデイ(体調不良時)の注意
低血糖とは?
血糖値が70mg/dL未満になる状態。動悸、発汗、ふらつきなどの症状が現れます。
→ 甘いもの(ブドウ糖、ジュース)で早めに対処しましょう。
シックデイとは?
風邪や胃腸炎で食事がとれない時のこと。薬の調整や水分補給が必要です。
→ 医師の指示を守り、自己判断で薬を中断しないようにしましょう。
糖尿病の合併症
急性合併症(緊急対応が必要)
- 糖尿病性ケトアシドーシス(1型糖尿病に多い)
- 高浸透圧高血糖状態(高齢者に多い)
→ 強い口渇、吐き気、意識障害などがある場合は、すぐに病院へ!
慢性合併症(時間をかけて進行)
細い血管の障害(3大合併症)
- 網膜症:失明の原因に
- 腎症:人工透析が必要になることも
- 神経障害:しびれ、痛み、立ちくらみ、便秘やEDなど多彩な症状
太い血管の障害
- 心筋梗塞・脳梗塞:命に関わる重篤な病気
- 足病変:潰瘍や壊死から足の切断に至ることも
その他のリスク
- 骨折しやすくなる
- 歯周病が悪化しやすい
- 認知症のリスクが高くなる
- がんのリスクもやや増加
まとめ
糖尿病は早期発見・早期治療が何よりも大切です。血糖コントロールをしっかり行えば、合併症の予防も可能です。
健康診断で「血糖値が高い」「おしっこに糖が下りている」などと指摘された場合は、早めの受診をおすすめします。いろはなクリニックでは、ひとりひとりの生活背景や体質に合わせた治療を行っています。お気軽にご相談ください。