「尿酸値が高い」とは、血液中の尿酸の濃度(尿酸値)が7.0mg/dLを超える状態で、これを高尿酸血症と呼びます。
多くの方はこの段階で症状を感じませんが、実はさまざまな病気のサインとなっていることがあります。早期に気づいて生活を見直すことが、将来の健康を守る第一歩です。
このページでは、高尿酸血症について解説していきます。
高尿酸血症が引き起こす病気
痛風(つうふう)
尿酸の結晶が関節に沈着し、突然の激痛と腫れを引き起こします。特に足の親指の付け根が多く、発作は1〜2週間続くことがあります。
尿路結石
尿中の尿酸が固まり、腎臓や尿管に結石を作ることで激しい痛みを生じます。
腎臓病(痛風腎)
尿酸が腎臓にたまると、腎臓の働きが落ちていきます。放っておくと腎不全や透析が必要になることもあります。
痛風結節
尿酸が皮膚の下に固まり、手の甲や耳たぶにこぶのような塊ができることがあります。
痛風発作を引き起こす要因
「発作が起きたのは突然だった」という方も多いですが、実は以下のようなことが引き金になることがあります。
- 激しい運動や長時間の歩行(特にきつい靴で)
- 暴飲暴食、特にプリン体の多い食事
- アルコール(特にビール)を大量に飲んだとき
- 脱水(大量に汗をかいた後や水分摂取不足)
- 足の冷え
- 急激な尿酸値の変動(治療薬の開始・中止)
生活習慣病との関係性
高尿酸血症は、以下のような生活習慣病と深い関係があります。
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症(高脂血症)
- 脂肪肝
- 慢性腎臓病(CKD)
これらの病気の背景には、「メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)」があります。つまり、生活習慣の乱れが高尿酸血症を悪化させ、さらに動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めてしまうのです。
治療の基本は「生活習慣の見直し」
尿酸値を下げるには、生活習慣を見直すことが何よりも大切です。
食事の工夫
- プリン体の多い食品は控えめに(1日400㎎以下)
→ レバー、干物、ビール、魚卵など - アルカリ性食品を積極的に
→ 野菜、きのこ、海藻、芋類など - アルコールはほどほどに
→ 特にビールや発泡酒はプリン体が多め
アルコール摂取の目安(1日あたりの量)
- ビール:500ml
- 日本酒:1合(180ml)
- 焼酎:120ml
- ワイン:180ml
- ウイスキー:60ml
※この量を「超えないようにする」ことが重要です。
水分をしっかりとる
尿酸は尿と一緒に体の外に出ていくため、水やお茶を1日1.5~2L目安にしっかり飲みましょう。
軽い運動を取り入れる
激しい筋トレではなく、早歩きや軽いジョギングといった有酸素運動を習慣にしましょう。
薬物療法
生活改善だけでは尿酸値が下がらないときや、痛風発作を繰り返す場合には尿酸降下薬の使用が検討されます。
- 痛風の既往や尿酸値が9mg/dL以上なら、尿酸降下薬の使用が推奨されます。
- 治療開始は、痛風発作が治まってからが原則です。
- 薬は少量から始めて、ゆっくり尿酸値を下げるのが安全です。
痛風発作時の治療
痛風発作の時には、まず炎症を抑えることが最優先です。尿酸値をすぐに下げることはせず、以下の薬を使って症状を落ち着かせます。
- コルヒチン:発作の初期(前兆期)に使うと効果的。発作が始まってすぐなら、これで抑えられることもあります。
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):多くの方が使うお薬で、痛みと腫れを抑えます。
- ステロイド(経口):NSAIDsが使えない方や、複数の関節が痛む場合に使います。
※注意すべきポイント
- 尿酸値を動かさない:発作中に尿酸降下薬(尿酸を下げる薬)を新たに始めたり、止めたりしないようにします。急激な変動が、かえって他の関節に発作を誘発することがあります。
- すでに尿酸降下薬を飲んでいる場合は、そのまま継続します(中止しない)。
まとめ
高尿酸血症は「放っておいていい病気」ではありません。
糖尿病や高血圧など、他の生活習慣病のサインであることも多く、見過ごすと命に関わる病気につながることもあります。
「今は症状がないから大丈夫」と思わず、日々の生活を見直すきっかけにしてみてください。
困ったときは、ぜひいろはなクリニックへご相談ください。あなたの健康を守るサポートを全力でいたします。