「うちの子、3日に1回しか便が出ないけど普通なのかな?」
「トイレに行くのを嫌がるけど、病気ではないよね?」
そんなふうに感じたことはありませんか?
実は、子供の便秘はとてもよくある問題で、日本の子どもの5〜30%が慢性的な便秘に悩んでいると言われています。軽く考えてしまいがちですが、便秘が続くとお腹の痛みや食欲不振、学校生活への影響など、心と体の両方にさまざまなトラブルを引き起こすことがあります。
このページでは子供の便秘について、診断や治療など解説していきます。
便秘症とは?
医学的には、以下のような症状が2ヶ月以上続く場合、「機能性便秘症」と診断されます(Rome IV基準)
主な診断基準(4歳以上)
以下の6項目のうち2つ以上が、少なくとも1週間に1回みられることが目安です。
- 週に2回以下の排便
- 便失禁(便がもれる)
- 排便時の過度な力み
- 硬い便、ウサギの糞のようなコロコロした便
- 排便を我慢する様子がある(足をクロスしたり体をよじったり)
- 大きな便塊が直腸にたまっている(医師の診察にて確認)
子供の便秘の原因は?
子供の便秘の多くは、病気が原因ではない「機能性便秘」です。以下のような生活要因が関係しています。
- 排便の我慢:トイレが恥ずかしい、痛い経験があった
- 食事の偏り:食物繊維不足、水分不足など
- 運動不足や生活リズムの乱れ
- トイレトレーニングでのプレッシャー
便秘の治療と対応のポイント
新生児・乳児期
この時期は、排便の間隔に幅があるのが特徴です。
- 排便が3~4日に1回でも、苦しそうないきみや号泣がなく、哺乳・体重増加が順調ならば、基本的には問題ありません。
- ただし、排便が数日ないことで不安な場合は、次のような方法を試しつつ、経過を見ていきます。
ご家庭でできる対応- 綿棒にベビーオイルなどをつけて、肛門を軽く刺激する「綿棒浣腸」
- お腹を「の」の字にやさしくマッサージする
- 便秘がちな乳児では、3〜4日排便がなければ綿棒浣腸を試すことが勧められます。それでも排便がなければ、医療機関へ受診。
- 頑固な便秘が続く場合は、器質的疾患を疑う必要があるため、小児科専門医への相談が望ましいです。
乳児期以降
急性便秘
- 急に便が出なくなった場合、多くは一過性で、外来で浣腸を行うだけで改善します。
- ただし、この時点で適切な対応をしないと、慢性便秘に移行することがあります。2週間以上便秘が続いているようであれば、注意深く経過を見る必要があります。
慢性便秘
- 便秘が長引く子どもの多くは「機能性便秘」です。
治療の基本は、悪循環を断ち、排便の習慣を再構築することです。
便秘治療の4本柱
ご家族の理解とサポート
- 「出た・出ない」「漏らした」といった様に、ご家族全体が過度に神経質になってしまうことがあります。
- まずは便秘がどうして起こるのか、どう治していくのか、ご家族が理解を深めることが大切です。
直腸にたまった便を出す
- 腸内に貯まった便をまずしっかり取り除くことがスタートです。
- 浣腸
- 摘便(指で取り出す)
- これにより、拡がった直腸の感覚を元に戻し、自然な排便反射を回復させます。
便がたまらないようにする
- 薬物療法
- 便をやわらかくする薬(緩下薬)で、排便をスムーズにします。
- 食事療法
- 野菜・果物・海藻など食物繊維を豊富にとる
- 玄米や五穀米なども有効です。
排便習慣を整える
- 毎日決まった時間(できれば朝食後)にトイレに座る(長時間は逆効果になるため、排便が無くても10分以内)
- 幼児には、排便を楽しいものにする工夫を
- ご家族がそばについて一緒にいきむ動作をしてみる
- カレンダーにシールを貼るなど、成功体験を重ねる
放置はNG!便秘の長期化がもたらすリスク
- 便失禁(便がもれる)
- 直腸が広がって感覚が鈍くなる
- お腹の痛み・吐き気・食欲不振・集中力低下
- トイレ嫌いが悪化し、悪循環に
「ただの便秘」と思わず、適切な対応が大切です。
まとめ
子どもの便秘は、決して珍しいことではありません。でも、それを「いつものこと」と見過ごさずに、ご家族で前向きに向き合うことがとても大切です。いろはなクリニックでは、お子さんの便秘に対して、急性期も慢性期も対応しています。いつでもお気軽にご相談ください。