( 診療案内 )

89. 治打撲一方

打撲・捻挫・筋肉痛…ケガのあとに“内側から”効かせる漢方薬

治打撲一方は、打撲・捻挫・筋肉の挫傷などケガによる腫れ・痛み・内出血を改善するための漢方薬です。外用薬と異なり、内服で体の内側から回復を促すという特徴があります。

こんな症状に使われます

  • 打撲後の腫れや内出血
  • 捻挫後の腫脹・痛み
  • 肉離れ・筋肉痛
  • 骨折後の腫れや違和感
  • スポーツ障害の回復補助
  • 手術後の炎症・癒着予防(補助的使用)

「青あざがなかなか引かない」「動かすと痛い」「冷湿布だけでは足りない」などの状況で使われます。

中医学的な見方

中医学では、外傷による「瘀血(おけつ)」と「気滞(きたい)」が痛みや腫れの原因とされます。治打撲一方はこれらを「活血化瘀(かっけつかお)」し、「行気止痛(こうきしつう)」することで、回復を早めます。

成分と作用(代表処方)

  • 当帰・川芎・芍薬:血行を改善し、瘀血を取り除く
  • 蘇木・大黄・延胡索・乳香・没薬:強力な活血・消炎・鎮痛作用
  • 紅花・丁香・桂皮・甘草:炎症を抑え、気血の巡りを調整する

外傷後の「腫れ・痛み・うっ血」に対して、血の巡りをよくし、痛みと炎症を鎮める構成になっています。

使用上の注意

  • 副作用:胃部不快感、下痢、発疹などがまれに報告されています。
  • 慎重投与:抗凝固薬(ワルファリンなど)使用中の方や出血傾向がある方は要注意。
  • 使用期間:通常は外傷の急性期〜回復期に短期集中で使用されます。

妊娠中の方や小児への使用については、必ず医師の指導のもとで行ってください。

最後に

治打撲一方は、打撲や捻挫など「内出血と腫れを伴うケガ」に対して、内側から体の回復力を高めてくれる漢方薬です。湿布や鎮痛薬だけでは足りないと感じるときの補助療法として有効です。気になる症状がある方は、ぜひご相談ください。