( 診療案内 )

7. 八味地黄丸

頻尿・夜間尿・足腰のだるさ…「年齢のせいかな」に

八味地黄丸(はちみじおうがん)は、加齢や疲労により弱った腎機能や下半身の虚弱症状を改善する漢方薬です。「トイレが近い」「夜何度も起きる」「足腰がだるい」「手足が冷える」などの症状に使われます。

こんな症状に使われます

  • 頻尿・夜間尿・残尿感
  • 尿の勢いが弱い、出にくい
  • 足腰の冷えやしびれ、倦怠感
  • 手足の冷え、むくみやすさ
  • 下半身の虚弱感、加齢に伴う不調
  • 糖尿病性神経障害の補助療法

とくに中高年層で、「腎虚(じんきょ)」による下半身の不調に合いやすい処方です。

中医学的な見方

八味地黄丸は、中医学でいう「腎陽虚(じんようきょ)」に対応する代表的な処方です。「腎」は成長・老化・排尿・生殖などを司る臓で、これが弱ると泌尿機能や足腰の衰えとして現れます。

八味地黄丸は、「補腎温陽(ほじんおんよう)」により腎の力を補い、冷えや排尿トラブルを改善します。

成分と作用(ツムラ7番)

基本構成は以下の8つの生薬です:

  • 地黄(じおう)・山茱萸(さんしゅゆ)・山薬(さんやく):腎精を補い、体力・生殖機能を強化
  • 沢瀉(たくしゃ)・茯苓(ぶくりょう)・牡丹皮(ぼたんぴ):水分代謝・排尿調整・炎症緩和
  • 桂皮(けいひ)・附子(ぶし):下半身を温め、血行促進し、冷えを改善

この組み合わせにより、腎機能の低下に起因する泌尿・下肢症状を総合的に改善します。

使用上の注意

  • 副作用:胃部不快感、下痢、動悸、発疹、のぼせ感などが報告されています。
  • 附子の影響:高血圧・心疾患の方は動悸やほてりに注意が必要です。
  • 慎重投与:強いのぼせ、便秘傾向、炎症性疾患がある場合には適しません。

服用中に異常があれば、早めに医師・薬剤師に相談を。

最後に

八味地黄丸は、「加齢だから仕方ない」と思われがちな下半身の不調を、体の根本から支える処方です。市販薬としても利用できますが、体質や持病、他の薬との兼ね合いによっては使い分けが必要です。気になる症状がある場合は、まずはご相談ください。