( 診療案内 )

【栄養療法の視点】不眠症

不眠は「足りない栄養」のサインかもしれません

「最近よく眠れない」「夜中に目が覚めてしまう」「眠っても疲れが取れない」──そんな不眠の悩みを抱える方が、いま増えています。

一見メンタルの問題や生活習慣のせいにされがちな不眠ですが、実はその背景に「栄養の偏り」や「必要な栄養素の不足」が隠れているケースもあります。

このページでは、栄養療法(オーソモレキュラー療法)の視点から、不眠症を解説していきます。

不眠の背景にある「栄養の問題」とは?

私たちがぐっすりと眠るためには、体内でさまざまなホルモンや神経伝達物質が適切に働くことが必要です。特に重要なのが、以下の3つのバランスです。

セロトニンとメラトニン

  • セロトニンは、幸せホルモンとも呼ばれる神経伝達物質。日中の心の安定に関与します。
  • 夜になるとセロトニンはメラトニンという睡眠ホルモンに変換され、眠りを誘います。
  • この変換には「トリプトファン(アミノ酸)」「ビタミンB6」「マグネシウム」などが必要不可欠です。

血糖値

  • 夜間の血糖値が乱高下すると、交感神経が優位になり、眠りが浅くなったり中途覚醒の原因になります。
  • 糖質過多たんぱく質・脂質の不足は、血糖の不安定を招く要因です。

自律神経

  • ビタミンB群やマグネシウム、鉄、亜鉛などは、自律神経の安定に関与しています。
  • これらの不足が続くと、イライラや不安感が強まり、眠りの質にも影響が出やすくなります。

オーソモレキュラー栄養医学でできること

「オーソモレキュラー栄養医学」とは、からだ本来の機能を取り戻すために、必要かつ適切な栄養素を“分子レベルで”補い、健康の根本から整えていく医療です。

不眠に対しても、以下のようなアプローチが可能です。

栄養状態の可視化

血液検査のデータを詳細に読み解き、以下を見極めます。

  • たんぱく質不足(ホルモン・神経伝達物質の原料)
  • ビタミンB群・マグネシウム不足(セロトニン・メラトニン合成に必須)
  • 鉄・亜鉛・ビタミンDの欠乏(自律神経や脳の安定に関与)

不足している栄養素の補充

検査結果に基づき、必要な栄養素を医療用サプリメントで効率よく補っていきます。

例:ビタミンB群、トリプトファン、マグネシウム、鉄、ビタミンCなど

腸内環境のサポート

腸はセロトニンの約90%が作られる場所。
腸内環境が悪化している場合には、消化酵素やプロバイオティクスなどを用いたサポートも行います。

カフェイン・糖質過多・食事タイミングの調整

栄養だけでなく、食習慣そのものを見直すことも大切です。
夜間の血糖値安定や、ホルモンリズムに沿った食事法をご提案します。

睡眠だけでなく、日中の“元気さ”も取り戻す

「寝つけるようになったけど、日中がだるい…」というお悩みにも対応。
慢性的な疲労や脳疲労も、栄養とホルモンの視点からケアします。

薬に頼らない睡眠改善をサポートします

「眠れないからとりあえず睡眠薬を…」というご相談も多くあります。

もちろん必要な場合にはお薬を処方しますが、「薬に頼らなくても自然と眠れる体」を目指すことを大切にしています。

  • 食事や生活リズムの改善
  • 足りない栄養素の補充(必要に応じてサプリメントも活用)
  • 漢方(東洋医学)の併用

一人ひとりの背景に合わせた、オーダーメイドの睡眠改善を一緒に考えていきます。