胸の痛みや圧迫感を感じたとき、「少し休めば治るから大丈夫」と思っていませんか? 実はその症状、不安定狭心症と呼ばれる、心筋梗塞の一歩手前の状態かもしれません。
この記事では、
- 不安定狭心症とはどんな病気か
- どんな症状に注意すべきか
- 受診や治療の流れ
- 再発予防のための生活習慣
について、できるだけ分かりやすく解説します。
こんな胸の症状は迷わず救急対応!
- 突然はじまる胸の痛みや締めつけ感(10分前後~)、動くと悪化して休むと軽くなる
- 同じような発作が何度もくり返す
- 安静にしていても出る/夜間に目が覚めるほどの痛み(重症サイン)
これらは不安定狭心症の典型。心筋梗塞の一歩手前の状態で、緊急対応が必要です。
強い痛みや冷汗、吐き気、息苦しさ、顔面蒼白を伴う場合は、ためらわずに119番してください。
不安定狭心症とは?
心臓に血液を送る冠動脈が、コレステロールの塊(プラーク)の破綻や血栓で急に狭くなり、心筋への血流が不安定になる状態です。
似た言葉に「安定狭心症」がありますが、安定狭心症は決まった運動量で出て休めば治まるパターン。不安定狭心症は突然・頻回・安静時にも出るのが特徴で、心筋梗塞へ進むリスクが高いのが大きな違いです。
どんな症状が出ますか?
胸の症状は人により表現が異なります。次のような「関連部位」にも痛みが出ることがあります。
- 胸の中央の痛み・圧迫感・締めつけ感(重い・石がのった感じ)
- 左肩・腕・背中・首・あご・みぞおちの痛み
- 息切れ、冷汗、吐き気、めまい、強い不安感
- 糖尿病の方や高齢の方では胸の強い痛みが目立たないことも
5~10分以上続く/くり返す胸の不調は要注意です。
いろはなクリニックで出来ること
不安定狭心症が疑われる場合、迅速評価→専門治療へ橋渡しを行います。
- 問診
痛みの出方・持続・誘因、既往歴、家族歴、危険因子(高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙・家族歴など)を確認 - 初期検査
- 心電図(12誘導):心筋の酸素不足を示す変化をチェック
- 採血:トロポニン(心筋のダメージマーカー)など
- 胸部レントゲン:心不全や他疾患の有無を確認
※検査が一度正常でも不安定狭心症は否定できません。症状・経過を慎重に観察し判断します。
- 専門医療機関へ連携
入院・心臓カテーテル検査が必要になることがあり、循環器救急対応が可能な病院と連携します。
治療はどう進みますか?
目的は心筋梗塞や突然死を防ぐことです。状況に応じて以下を組み合わせます。
- 薬の治療
- 抗血小板薬・抗凝固薬:血栓(血の塊)をできにくくする
- ニトログリセリン等:冠動脈を広げ痛みを和らげる
- 酸素投与:必要時
- 血行再建(カテーテル治療/ステント):狭い部分を内側から広げる
- 冠動脈バイパス術:病変が広範囲・重要部位のときに選択
※具体的な治療方針はは専門医が個別に判断します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 胸の痛みが消えたら受診しなくてよいですか?
A. 痛みが消えても医療機関への受診をお勧めします。痛みは出たり治まったりします。翌日以降の大きな発作の前触れであることも。
Q2. 胸焼けや肩こりとの違いは?
A. 消化器や筋骨格由来でも胸痛は起こりますが、動くと悪化・休むと軽減・冷汗や息切れを伴うときは心臓の病気のサインである可能性が高まります。
Q4. どんな人がなりやすい?
A. 高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、家族歴、肥満、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸などがある方は要注意です。
再発予防と生活のポイント
- 禁煙(加熱式含む)
- 血圧・コレステロール・血糖のコントロール(処方薬の飲み忘れゼロ)
- 食事:地中海食を参考に、野菜・魚・オリーブオイル、塩分は1日6g未満を目安に
- 運動:医師と相談の上、安全が確認されてからウォーキングなどを再開
- 睡眠とストレス管理:睡眠不足や過労は発作の引き金に
- 定期受診:症状がなくても薬と数値の見直しを
まとめ
不安定狭心症は、心筋梗塞の前ぶれとなる危険なサインです。胸の痛みや圧迫感が「いつもと違う」「何度も繰り返す」「安静時にも出る」と感じたら、迷わず受診してください。
早めの行動が、命を守り、将来の健康につながります。