
本記事では、保育園や小学校に通うお子さんによく見られる感染症、
「水痘(みずぼうそう)」についてわかりやすく解説します。
「どんな症状?」「いつから登園できる?」「家族にうつらないようにするには?」
といった疑問に、医療現場の視点からお答えします。
多くは自然に治る病気ですが、まれに重症化することもあります。
早めの受診と正しい知識で、安心して対応できるようにしましょう。
水痘(みずぼうそう)とは?
水痘は、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella zoster virus)によって起こる感染症です。
空気感染・飛沫感染・接触感染でうつり、感染力がとても強いのが特徴です。
感染力のある期間
発疹が出る1〜2日前から、すべての発疹がかさぶたになるまでです。
主な症状
- 38℃前後の発熱
- かゆみを伴う発疹(赤いポツポツ → 水ぶくれ → かさぶた)
- 頭・顔・体から始まり全身へ広がります(※手のひら・足の裏は出にくい)
特徴的なのは、さまざまな段階の発疹が同時に混ざっていることです。
潜伏期間(感染から発症まで)
感染してから発症するまでの期間は、10〜21日(平均約2週間)です。
治療について
ほとんどの子どもは自然に治りますが、かゆみや発熱をやわらげる治療(対症療法)を行います。
基本の治療
- 解熱剤(アセトアミノフェン/カロナールなど)を使用
※ 小児にはアスピリンは使いません(ライ症候群を防ぐため) - かゆみ止めや抗ヒスタミン薬の使用
- 発疹を掻き壊さないように皮膚を清潔に・爪を短く
抗ウイルス薬の使用
次のような場合は、抗ウイルス薬(アシクロビル・バラシクロビル)を使うことがあります。
- 12歳以上
- 持病がある/免疫が弱っている
- 発疹や発熱が強く、重症化の恐れがあるとき
登園・登校のめやす
水痘は「学校保健安全法」により第二種感染症に指定されています。
登園・登校できるのは
「すべての発疹がかさぶたになったあと」
が目安です。
発疹が出てから約1週間前後で登園・登校できることが多いですが、医師の判断に従いましょう。
合併症に注意
多くの場合、水痘は軽症で済みますが、まれに以下のような合併症を起こすことがあります。
- 肺炎
- 脳炎(意識がぼんやり・ふらつき・けいれんなど)
- とびひなどの二次感染
次のようなときは、すぐに受診してください。
🔹 高熱が長引く
🔹 息苦しそうにしている
🔹 意識がもうろうとしている
ワクチンで予防できます
水痘は、ワクチンで防ぐことができます。
2014年から1歳〜3歳未満で2回接種の定期接種になっています。
2回接種により、
- 発症を防ぐ
- かかっても軽症で済む
といった効果が期待できます。
家族にうつさないために
- 兄弟や家族に免疫がない人がいる場合は接触を避けましょう。
- 妊婦さんや免疫の弱い方は、重症化のリスクがあります。
- 感染が疑われるときは、早めに医師へ相談を。
発症者との接触後(暴露後)3日以内であれば、ワクチン接種による発症予防(曝露後予防)ができる場合もあります。
まとめ
- 水痘(みずぼうそう)は感染力が強いウイルス感染症
- 多くは自然に治りますが、重症化することもあります
- 発疹がすべてかさぶたになるまで登園・登校はお休み
- 定期接種ワクチンでしっかり予防を
- 迷ったときは、早めにご相談ください