
麻しん(はしか)は、感染力が非常に強く、重症化することもある感染症です。近年、国内でも流行認められています。ワクチン接種歴が不明な方や、妊娠を希望している方、海外渡航を予定している方は、一度確認しておきたい病気のひとつです。このページでは、麻しんの症状や注意点に加え、予防接種、抗体検査について分かりやすくご案内します。
麻しん(はしか)とは?
麻しんは、麻しんウイルスによって起こる感染症で、空気感染・飛沫感染・接触感染で広がります。免疫がない方では感染しやすく、手洗いやマスクだけで十分に防ぐことは難しいとされています。予防の中心は、麻しん含有ワクチンの接種です。
症状は、まず発熱、咳、鼻水、目の充血など、かぜに似た症状から始まります。その後、いったん少し落ち着いたように見えても、再び高熱が出て、発疹があらわれるのが特徴です。
麻しんは、単なる発疹の病気ではありません。肺炎、中耳炎、脳炎などの合併症を起こすことがあり、重症化する場合があるため、ワクチンによる予防が非常に大切です。1,000人に1人程度の割合で脳炎が発症し、死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。
近年、国内でも報告数の増加がみられており、2026年は3月末時点で累計100人を超え、前年同時期の4倍以上のペースで拡大しています。海外からの流入事例を起点に、都市部を中心に渡航歴のない人への感染も確認されており、さらなる感染拡大に注意が必要な状況です。
このような症状がある場合はご注意ください
- 発熱
- 咳
- 鼻水
- 目の充血
- 発疹
麻しんが疑われる症状がある場合は、感染拡大を防ぐため、直接来院せず、まずはお電話でご連絡ください。
修飾麻しんについて
麻しんでは、典型的には発熱、咳や鼻水などのカタル症状、発疹がそろってみられますが、なかには症状がそろわず、比較的軽くみえるタイプの麻しんがあります。これを修飾麻しんといい、ワクチンによる獲得免疫が低下してきた方に多いとされます。
修飾麻しんでは、典型的な麻しんに比べて症状が軽く、高熱がはっきりしない、発疹が目立たない、かぜのように見えるなど、気づきにくいことがあります。そのため、予防接種を受けているから絶対に麻しんではない、とは言い切れません。
一方で、修飾麻しんでも周囲へ感染させる可能性はあります。 修飾麻しん患者の感染力は典型的な麻しんより弱いものの、直接接触や、患者から2m以内で咳・くしゃみ・会話による飛沫を浴びた可能性がある場合は接触者対応の対象になります。
そのため、麻しんの方との接触歴がある、または流行状況や渡航歴などから麻しんが否定できない中で、発熱、咳、鼻水、発疹などの症状がみられる場合は、症状が軽くても注意が必要です。このような場合でも、直接来院せず、まずは電話でご連絡ください。
麻しんの治療
麻しんに対する特効薬はありません。そのため、発熱などの症状に対して、症状を和らげる治療(対症療法)を行います。
予防接種・抗体検査について
予防で最も大切なのは予防接種です
麻しんの予防で最も重要なのは、麻しん含有ワクチン(MRワクチン)を確実に接種することです。ワクチンを1回接種すると95%程度の人が免疫を獲得し、2回接種によってより確実な免疫が期待できます。2回接種は、発症予防だけでなく、重症化予防や周囲への感染拡大リスクを下げることにもつながります。
麻しん風しんワクチン(MRワクチン)の定期接種
麻しん風しんワクチンの定期接種は、次の2回です。
第1期は1歳の1年間、第2期は5歳以上7歳未満で小学校入学前の1年間です。
※当院ではMRワクチンの定期接種は2期のみ実施しております。
麻しんが疑われる患者さんに接触した場合、まずは、母子手帳などで予防接種歴を確認することが大切です。
大人の方も確認をおすすめします
麻しんは小児だけの病気ではなく、大人でも感染し、重症化することがあります。
麻しんの流行を防ぐため、感染時の重症化を予防するため、予防接種歴の確認をお願いします。
抗体検査について
「子どもの頃に接種したか覚えていない」
「母子手帳が見当たらない」
「仕事の都合で免疫の有無を確認したい」
このような場合には、麻しん抗体検査が可能です(自費診療となります)。
抗体検査は、接種歴が不明な方や、仕事・妊娠希望・渡航前などで免疫の確認が必要な方に実施可能です。
妊娠を希望している方へ
MRワクチンは生ワクチンのため、妊娠中は接種できません。 また、ワクチン接種後は2か月程度の避妊が必要です。妊娠を希望している方は、妊娠前に接種歴を確認し、抗体検査やワクチン接種を検討することが大切です。
麻しんを疑う方と接触した場合の注意点
麻しんを疑う方、あるいは、麻しんと診断された方と接触した場合は、まずご自身の感染歴や予防接種歴を確認することが大切です。特に、麻しんを含むワクチン(麻しん風しんワクチンなど)を2回接種しているかどうかを母子手帳などでご確認下さい。
接触したあとに、発熱、咳、鼻水、目の充血、発疹などの症状が出てきた場合は、麻しんの可能性も考える必要があります。麻しん患者に接触した場合、72時間以内であれば麻しんワクチンの予防接種が有効な場合があります。
また、緊急ワクチン接種が不可能な妊娠中の方、免疫が低下している方などに関しては、接触後4日以上6日以内では、麻しん免疫グロブリン(人免疫グロブリン製剤)の投与が適応となる場合があります。
そのため、麻しん患者、麻しんの可能性がある方と接触した場合は、迅速な対応が必要です。
症状がある場合、接触した可能性がある場合は、直接来院せず、まずは電話でご連絡ください。 院内での感染拡大を防ぐためにもご協力をお願いいたします。
妊娠中の方、乳児、免疫の低下している方などでは、より慎重な対応が必要になることがあります。ご本人だけでなく、ご家族が接触した場合も含め、心配なことがあれば早めにご相談ください。
費用について
麻しんの抗体検査、MRワクチン接種は、自費診療となります。
また、ワクチンをご希望の場合、製剤確保にお時間を頂きますので、余裕をもってのご相談をお願いします。
麻しん抗体検査 6,050円(税込, 初診料, 採血手技量含む)
麻しん風しんワクチン接種 9,900円(税込)
まとめ
麻しんは、感染力が強く、注意の必要な感染症です。予防接種による感染予防が最も大切となりますので、予防接種歴を確認することが大切です。
麻しんに対する特効薬はありませんが、接触後に緊急予防接種や免疫グロブリン投与により、発症を防ぐことが出来る可能性がありますので、接触の可能性がある場合は、早めのご相談をおすすめします。
「接種したか分からない」「自分は大丈夫だろうか」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そのようなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
当院では、お一人おひとりの状況やご希望に寄り添いながら、予防接種や抗体検査について丁寧にご案内いたします。
参考リンク
当院について
いろはなクリニックは、岐阜市則武東にある 内科・血液内科・小児科 のクリニックです。
私たちは、「いろ(その人らしさ)」「はな(笑顔・やさしさ・本来の健やかさ)」「ohana(家族や仲間のような支え合いの心)」を大切にし、医療を通じて安心とつながりが育まれる場を目指しています。
症状だけでなく、生活背景や価値観にも目を向けながら、一人ひとりにとって納得感のある医療をお届けします。
小さな不調や迷いの段階でも、どうぞ気軽にご相談ください。

編集・監修者
いろはなクリニック 院長 柴田 悠平
- 医学博士
- 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
- 日本血液学会 血液専門医・指導医
- 日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医