がん治療と美容に、ビタミンC
高濃度ビタミンC点滴療法は、体にやさしく副作用のほとんどない治療法です。ビタミンCを高濃度で点滴注入することで、通常の食事やサプリでは得られない健康効果が期待できます。がん治療のサポートから美白・アンチエイジングまで幅広く注目されており、一般の患者さんにも安心して受けていただける先進的な点滴療法です。この治療はNPO法人「点滴療法研究会」が提供・推奨しており、当院でもその最新の知見に基づいて施行しています。国内外の多くの医師が導入している実績ある療法でもあり、米国ではNIH(国立衛生研究所)やNCI(国立がん研究所)が注目し、1万人以上の医師ががん治療に採用しされおり、信頼性の高い治療と言えます。
※高濃度ビタミンC点滴は保険適用外の自費診療となります
高濃度ビタミンC点滴療法とは?
高濃度ビタミンC点滴療法は、その名のとおり高濃度のビタミンCを静脈から直接体内に入れる治療法です。ビタミンCは人の体内で作ることができない大切な栄養素で、抗酸化作用やコラーゲン生成促進作用など体を守る様々な働きがあります。通常ビタミンCを口から大量に摂っても吸収に限界があり余分は排出されてしまいますが、点滴で直接入れることで血中ビタミンC濃度を一気に20~40倍以上に高めることが可能です。その結果、経口摂取では得られないレベルの効果を引き出すことができます。例えば、風邪予防や疲労回復、免疫力アップなどの全身的な健康増進効果も期待でき、がん治療の補助療法や美容目的のケアとして幅広く利用されています。

なぜ高濃度ビタミンCが特別なの?
ビタミンCは強力な抗酸化物質として知られています。高濃度になると抗酸化作用だけでなく、場合によっては活性酸素(過酸化水素など)を発生させることで体に良い働きをもたらします。活性酸素というと悪者のイメージがありますが、高濃度ビタミンC療法ではこれをがん細胞だけに狙い撃ちするよう利用できる可能性があります。つまり、高濃度ビタミンCが周囲に過酸化水素を発生させ、正常な細胞を傷つけずにがん細胞だけを攻撃するのではないかと考えられているのです。そのため、欧米の研究者たちもこの作用に注目し、米国のNIHやNCIの研究チームは「高濃度ビタミンCががん細胞を選択的に殺す」可能性について科学雑誌PNASに発表しています。日本国内でも、東京大学や愛知がんセンターなどの研究グループが高濃度ビタミンCにより悪性腫瘍の細胞死が誘導されることを報告し、高濃度ビタミンC療法が注目されています。こうした科学的背景を持つことから、ビタミンC点滴療法は「エビデンスに基づいた代替・統合医療」の一つとして位置づけられています。
高濃度ビタミンC点滴は、以下のような方におすすめです。
がんの治療中や治療後
- 標準的がん治療が無効もしくは効果が低い
- 標準的がん治療の効果をより確実にしたい
- 標準的がん治療の副作用を少なくしたい
- 良好な体調を維持しながら寛解期を延長したい
- 標準的がん治療ではなく代替治療を受けたい
美肌・美白・アンチエイジング
- お肌のくすみ、シミが気になる
- 肌荒れが気になる
- ストレスが多い
- 風邪をひきやすい
- 慢性的な疲労感がある
がん治療をサポートする効果
高濃度ビタミンC点滴療法は、がん治療の補助療法(サポーティブケア)として世界的に利用が広がっています。標準的ながん治療(手術・抗がん剤・放射線など)をしっかり行う前提で、その効果を高めたり副作用を和らげる目的で併用されるケースが増えています。実際に、近年の臨床研究でも希望の持てる結果が報告されています。
抗がん剤との併用で生存期間が延長
2024年に発表された臨床研究では、遠隔転移のあるステージIV膵臓がん患者34人を対象に、標準的な化学療法+高濃度ビタミンC点滴(週3回・1回75g)を行ったグループと、化学療法のみのグループで治療効果を比較しました。その結果、ビタミンC点滴を併用したグループは併用しなかったグループに比べて、生存期間の中央値が8.3か月から16か月へと延長したと報告されました。病状が進行しなかった期間(無増悪生存期間)も、併用なしの3.9か月から併用ありでは6.2か月に延長していました。
副作用の軽減や治療効果の向上
2014年に米国で行われた卵巣がんのランダム化比較試験では、標準的な抗がん剤治療(カルボプラチン+パクリタキセル)に高濃度ビタミンC点滴を追加した群のほうが、抗がん剤だけの群よりも病気が進行するまでの期間が平均で8.75か月延長したと報告されています。さらにこの研究では、ビタミンC併用群のほうが抗がん剤の副作用(例えば吐き気や倦怠感など)が少なかったことも明らかになりました。このように、高濃度ビタミンC点滴はがん細胞そのものへの働きかけだけでなく、患者さんのQOL(生活の質)改善にも役立つ可能性があります。
ビタミンC治療は「飲む」より「点滴」
ビタミンCががん治療に役立つかもしれない、という考えは昔からあります。ですが、最初の臨床試験では飲み薬として使われたため効果が出ず、「ビタミンCはがんに効かない」と長い間考えられてきました。その後の研究でわかってきたのは、飲むだけでは血液中のビタミンC濃度はあまり上がらないということです。実際、飲み薬では200μMほどまでしか上がらないのに対し、点滴で投与すると25倍以上(6,000μM=6mM)もの濃度に達することがわかっています。この「高い濃度」が、がん細胞を攻撃するためには重要なのです。点滴でしか得られないこの高濃度が、がん細胞を死滅させたり、抗がん剤の効果を高めたり、正常な細胞を守る働きもあると報告されています。つまり、ビタミンC治療は“飲むだけ”ではなく、“点滴”で行うことが効果を出す鍵になるのです。
こうしたエビデンスはありますが、高濃度ビタミンC点滴療法はあくまで標準治療を「補完する」位置づけです。がんを直接治す魔法の薬ではありませんので、「標準治療+ビタミンC点滴」で相乗効果を狙うのがポイントです。実際、効果を最大限にするには週に2~3回程度の頻回投与で血中濃度を維持することが推奨されており、海外の臨床試験でも週2~3回のプロトコルが採用されています。
美容・アンチエイジングへの効果
高濃度ビタミンC点滴療法は、美肌やアンチエイジングを目的としたケアとしても人気があります。実際、ビタミンCには以下のような肌への嬉しい効果が期待できます。
- コラーゲン生成を促進: ビタミンCは肌のハリや弾力を支えるコラーゲンの生成に欠かせません。点滴でビタミンCを充分に補うことでコラーゲン産生が高まり、お肌のプルプル感や弾力アップにつながります。
- 美白(メラニン生成の抑制): ビタミンCはシミやそばかすの原因となるメラニン色素の産生を抑えてくれます。そのため、シミ予防や改善、肌のトーンアップ(透明感のある明るい肌)効果が期待できます。
- 強力な抗酸化作用: 紫外線を浴びると発生する活性酸素が肌老化の原因ですが、ビタミンCは抗酸化パワーでそれらを中和します。これにより日焼けによるダメージを軽減し、シワやたるみなど光老化の予防に役立ちます。
- 抗炎症・創傷治癒効果: 活性酸素を抑えることで肌の炎症を鎮め、ニキビや肌荒れの改善を助けます。コラーゲン生成促進作用により傷の治りを早める効果も期待できます。
このように、ビタミンCは「お肌に良いことづくめ」の栄養素です。しかし一度に大量のビタミンCを経口で摂ることは非常に難しいため、点滴によって効率よく体内に届けることが大切です。高濃度ビタミンC点滴療法はアンチエイジング治療としても注目されており、シミ・くすみのケアやエイジングサイン(シワ・たるみ)の予防、日々の疲労回復まで、総合的な美容と健康維持に心強い味方となってくれます。

安全性と当院での取り組み
初めて高濃度ビタミンC点滴療法を受ける方にとって、安全性は気になる点だと思います。ビタミンCはもともと体内にも存在するビタミンですので、適切に行えば副作用の極めて少ない安全な治療です。水溶性ビタミンのため体に蓄積せず、使われなかった分は尿中に排出されます。ただし、安全に受けていただくために当院では以下のような取り組みを行っています。
- 事前の体調チェックと検査:
点滴療法を始める前に、医師が問診・診察で患者さんの体調や既往症を確認します。また、G6PDという酵素の欠損の有無を調べる血液検査を初回前に必ず実施しています。この酵素が先天的に不足している方は、高容量のビタミンC投与で赤血球が壊れてしまうリスクがあります。その他、腎機能や肝機能の血液検査も合わせて行い、総合的に安全性を確認した後に治療を開始します。 - 点滴療法研究会の認定手技:
当院は点滴療法研究会の会員として、研修を受けた医師・看護師が処置を担当します。点滴の調合方法や施行スピード、衛生管理などの基準を順守し、安全性を大切にした体制を整えています。 - 万全のサポート体制:
点滴中はリクライニングチェア、ベッドでリラックスして過ごしていただけます。万一体調に変化があった場合もすぐ対応できるよう医療スタッフがそばについていますので、不安なことがあれば何でもお知らせください。点滴後も体調確認を行い、気になる点があれば医師が適切に対処いたします。
使用しているビタミンC製剤について
当院で使用している高濃度ビタミンC点滴は、アイルランド・Mylan社製の注射用ビタミンC製剤(25g/50ml)です。この製剤は、防腐剤を一切含まない高純度のアスコルビン酸であり、海外の厳格な品質管理のもと製造・輸送されています。
国内で流通しているビタミンC製剤は、1本あたり2gの低容量に加え、防腐剤(ピロ亜硫酸ナトリウムやチオグリコール酸ナトリウム)が含まれています。そのため、25g以上の高濃度点滴を行うと防腐剤が過剰に体内に入ってしまい、安全性に懸念があります。

この問題を回避するため、当院では以下の基準を満たす高品質な輸入製剤を採用しています:
- 防腐剤無添加
- 1本で25gのビタミンCが投与できる高容量設計
- アメリカ薬局方(USP)1079に準拠した温度管理(5℃恒温)
- 酸化を防ぐため、冷蔵状態で工場から保冷空輸
- Mylan社が製造物責任法(PL法)に基づいて品質を保証
- ナトリウム含有量が他社製より少なく、体への負担が軽い
また、ビタミンCは水に溶かした状態で常温に置いておくと、すぐに酸化してしまい、本来の効果が弱まるだけでなく、一部の抗がん剤の効果を妨げる可能性があるとも言われています(Cancer Res 2008;68:8031)。
そのため当院では、製剤の輸送から保管、投与直前の取り扱いまで、すべて冷蔵管理のもと徹底した品質維持を行っています。
以上のように、高濃度ビタミンC点滴療法はエビデンスに裏付けられた信頼性の高い治療ですが、当院では「安心・安全に受けていただく」ことを大切にしています。
よく見られる副作用と対処法
1. 点滴部位の痛み・血管痛
点滴の刺入部位や血管に沿って痛みを感じることがあります。これは、ビタミンCの濃度や点滴速度、血管の状態によって起こるものです。
→ 点滴速度をゆっくりにしたり、温めたり、マグネシウムを加えることで軽減できます。
2. 吐き気・頭痛
点滴の速度が速いときや、体調によって起こることがあります。
→ 点滴速度を調整することで改善します。
3. 眠気・ボーっとする感じ
ビタミンCには抗ヒスタミン作用があり、眠気が出ることがあります。
→ 点滴後は車の運転などは控えてください。
4. のどの渇き
利尿作用によりのどが渇くことがあります。
→ 点滴中はお水などの飲み物をご用意ください。
まれに発生する副作用
5. 低血糖
ビタミンCはブドウ糖に似た構造のため、体が誤ってインスリンを分泌し、血糖が下がることがあります。
→ 空腹時は避け、必ず食後に点滴を受けてください。
6. 見せかけの高血糖(糖尿病患者さん向け)
ビタミンCが血糖測定器に反応して、実際よりも高い値が出ることがあります。
→ 点滴後12時間は自己測定によるインスリン量調整は避けましょう。
7. 低カルシウム血症
ビタミンCによりカルシウムが排泄され、まれに体のふるえやしびれが起こることがあります。
→ 点滴にマグネシウムを加えたり、必要に応じてカルシウムを補います。
8. 尿路結石
体質や脱水によって、尿中のシュウ酸が増え、結石ができるリスクがあります。
→ 結石の既往がある方は、点滴前後の水分補給をしっかりと行いましょう。
9. 有痛性の皮下出血
まれに、腕や指などに青あざのような内出血が出ることがあります。
→ 重症化することはまれで、2〜3日で自然に回復します。
点滴を受けられない可能性のある方
以下のような方は、ビタミンC点滴を慎重に検討する必要があります:
- G6PD欠損症(溶血のリスクがあるため、事前検査を行います)
- 重度の心不全、著しいむくみ、腹水のある方(点滴量が多いため)
- 腎機能に問題がある方、鉄の過剰がある方(定期的な検査が必要)
費用一覧
項目 | 費用(税込) |
---|---|
初診料 | 3,300円 |
再診料 | 0円 |
G6PD検査 | 11,000円 |
高濃度ビタミンC点滴 12.5g | 9,000円 |
高濃度ビタミンC点滴 25g | 13,000円 |
高濃度ビタミンC点滴 50g | 18,000円 |
おわりに ~まずはお気軽にご相談ください~
がん治療のサポートとして高濃度ビタミンC点滴を受けてみたい方、美容や健康維持のために興味がある方は、ぜひ当院にご相談ください。あなたの体調や目的に合わせて、適切なプランをご提案いたします。高濃度ビタミンC点滴療法が、皆さまの美しく健やかな毎日のお役に立てれば幸いです。興味のある方は、お電話や受付にてお気軽にお問い合わせください。スタッフ一同、親身になってサポートいたします。あなたの不安を安心に変え、そして一歩前向きな毎日を送るお手伝いができればと願っております。