( 診療案内 )

50. 荊芥連翹湯

荊芥連翹湯の解説です

のどの痛み・発熱・口の渇き…風邪の中期〜後期に

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)は、風邪の進行によってのどの痛みや腫れ、発熱、口の渇きなどの症状が出ているときに使われる漢方薬です。初期より少し進んで「からだの熱っぽさ」が表れてきた段階で適応され、多くの西洋医学的な抗炎症・抗菌薬の補助として用いられることもあります。

こんな症状に使われます

  • のどの痛み、腫れ、赤み
  • 発熱、頭痛、全身のだるさ
  • 口の渇き、舌が赤い・苔が厚い
  • 蓄膿気味・鼻づまり
  • 慢性喉頭炎、扁桃炎、咽頭炎の補助療法

「熱っぽくてのどが痛い」「風邪薬ではよくならない炎症」に対して向いています。

中医学的な見方

中医学では、荊芥連翹湯は「風熱(ふうねつ)」と呼ばれる、外からの病邪が熱を帯びて体に侵入し炎症を起こしている状態に用いる処方です。のどや鼻の粘膜の赤み・腫れなどに対して、熱を冷まし、炎症を鎮め、排膿を助ける効果があります。

成分と作用(ツムラ31番)

荊芥連翹湯は、清熱・解毒・排膿作用を持つ生薬を含む処方です:

  • 荊芥(けいがい)・蝉退(せんたい):逸熱を解き、のどの痛みを取る
  • 連翹(れんぎょう)・桔梗(ききょう):炎症と腫れを抑え、痰や膿を排しやすくする
  • 桑白皮(そうはくひ)・淡豆豉(たんとうし):発汗を促し、体内の熱を下げる
  • 淡竹葉(たんちくよう)・甘草(かんぞう):清熱と調和作用で、口の渇きや胃腸への負担を緩和

これらが協力して、炎症を冷まし、粘膜の腫れや痛みを和らげます。

使用上の注意

  • 副作用:まれに胃の不快感、下痢、発疹などが報告されています。
  • 併用注意:抗炎症薬や抗菌薬との併用で胃腸への影響が出ることがあります。
  • 慎重投与:体力のない虚弱体質、慢性胃炎の方、妊娠中の方は医師と相談のうえでの使用が望まれます。

炎症が強すぎる場合は、別処方(黄連解毒湯など)に切り替えることもあります。

最後に

荊芥連翹湯は、のどの痛み・腫れ・発熱などの“熱”を主体とする症状に対して、体のバランスを整えながら炎症をしずめる漢方薬です。市販の風邪薬との組み合わせや、病院での治療の補助として利用することで、回復がスムーズになることがあります。必ず医師・薬剤師に相談しながら、体調に合った使用をしてください。