頭皮のかゆみ・赤み・膿疱…皮膚炎にやさしくアプローチ
治頭瘡一方(ぢずそういっぽう)は、頭皮の湿疹・膿疱・かゆみ・フケ・赤みなどの症状を改善する漢方処方の外皮用(内服型)エキス剤です。外用薬では届きにくい頭皮の奥の炎症やかゆみに、体の内部から働きかける特徴があります。
こんな症状に使われます
- 頭皮に小さな膿疱や湿疹がある
- かゆみや赤みが強く、掻いてしまう
- フケが多く、頭皮が荒れている
- 苔癬化(皮膚が厚くなる)してきている
- 市販のシャンプーや軟膏では改善しにくい皮膚トラブル
皮膚科や漢方科では、脂漏性皮膚炎、頭皮湿疹、丘疹性痤瘡(にきび)の補助療法として使われることがあります。
中医学的な見方
中医学では、頭皮の炎症や膿疱は「熱毒(ねつどく)」や「血熱(けつねつ)」が原因とされます。治頭瘡一方エキスは、体内の余分な熱と毒素を清め(清熱解毒)、血の熱を冷やし(血熱平肝)、炎症やかゆみを改善する処方です。
成分と作用
主要な生薬成分は以下のとおりです(代表的な構成例):
- 黄芩・黄連:強い清熱解毒作用で炎症や膿を抑える
- 連翹・金銀花:熱をとり、肌の赤み・膿疱を改善
- 地黄・当帰:血熱を取りつつ、血流を改善して栄養を行き渡らせる
- 大黄・蘇木・桃仁:瘀血(おけつ=血のよどみ)を解消し、うっ滞を改善
これらが協働して、頭皮の“熱”や充血を沈め、余分な毒素と瘀血を排し、症状をやさしく解消へ導きます。
使用上の注意
副作用:胃部不快感、下痢、発疹などが報告されることがあります。
- 併用注意:抗凝固薬(ワルファリンなど)使用中、腸管出血・痔出血の可能性がある場合は医師に相談が必要です。
- 慎重投与:重症例(膿疱が広範囲・高熱を伴うなど)は、専門医の管理下での使用が望まれます。
- 使用期間:通常は短期間(1~2週間)をめどに使用し、症状改善の経過を観察します。
最後に
治頭瘡一方は、頭皮の湿疹や膿疱、かゆみといった皮膚の炎症症状に対して、体の内部からやさしく働きかける漢方処方です。抗菌外用薬や保湿ケアと併用しながら、炎症の根本に改善を目指す治療として用いられます。
自己判断による長期使用は避け、症状の重さや体質、服用中の薬との相性を考慮し、医師・薬剤師との相談のうえ使用することが大切です。気になる症状がある場合は、まずはご相談ください。