のどがつかえる・息苦しい・胃が重い…ストレス由来の体の不調に
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、のどや胸の「つかえ感」、不安感、胃の不快感など、ストレスに由来する身体症状に使われる漢方薬です。検査をしても原因がわからない「違和感」や「不快感」があるときに選ばれることが多く、機能性ディスペプシアや自律神経失調症の補助療法としても使われます。
こんな症状に使われます
- のどに何か詰まったような感じ(梅核気)
- 息がしづらい、深呼吸しないと苦しい
- 胃が重い、吐き気がある、食欲がない
- 不安感、緊張感、ストレス性の不調
- 更年期障害、自律神経失調症
「のどに何かあるけど飲み込めない」「検査をしても異常がないと言われた」などの症状に合いやすい処方です。
中医学的な見方
中医学では、半夏厚朴湯は「気滞(きたい)」と「痰気鬱結(たんきうっけつ)」と呼ばれる状態に対して使います。これは、ストレスや情緒の乱れで気の巡りが悪くなり、のどや胸、胃などに「つかえ」や「不快感」が生じるという考えです。
半夏厚朴湯は「行気化痰(こうきけたん)」によって、気の巡りと痰の停滞を改善し、心身の緊張をやわらげます。
成分と作用
以下の5つの生薬で構成されるシンプルな処方です:
- 半夏(はんげ):胃腸を整え、吐き気やつかえを改善
- 厚朴(こうぼく):気の巡りを良くし、胃腸の張り感を緩和
- 茯苓(ぶくりょう):余分な水分を除き、気分を安定させる
- 生姜(しょうきょう):胃を温め、冷えや気逆を改善
- 蘇葉(そよう):緊張を緩和し、気の巡りを助ける
「ストレスで胃腸が動かない」状態に優しく作用します。
使用上の注意
- 副作用:胃の不快感、発疹、下痢などが報告されています。
- 慎重投与:極度の冷え性や胃腸虚弱の方には合わないことがあります。
- 併用注意:同じく半夏を含む薬との併用には注意。
症状が強い場合や長引く場合には、他の処方(加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蛎湯など)への変更を検討することがあります。
最後に
半夏厚朴湯は、「ストレスで体が緊張している」「のどや胃がつかえてスッキリしない」といった症状に対して、やさしく働きかける漢方薬です。気分と体の両方にアプローチできる点が特長で、現代のストレス社会に適した処方とも言えます。気になる症状がある場合は、ぜひご相談ください。