2025年夏、再び新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されています。その主な原因とされているのが、新たな変異株「NB.1.8.1」、通称「ニンバス株」です。
この株は、従来のオミクロン株よりも高い感染力を持ち、特に日本国内では急速にその割合を増やしています。
この記事では、ニンバス株の特徴や全国・岐阜県での感染状況、そしてこの夏における感染拡大の背景と、できる対策について、分かりやすく解説します。
NB.1.8.1(通称:ニンバス株)とは?
- オミクロン系統の亜変異株で、従来のXEC株やLP.8.1株より 伝播力(実効再生産数)が高い とされています。
- 世界保健機関(WHO)は 2025年5月 にこの株を「監視下の変異株(Variant Under Monitoring)」に指定しました。
世界での感染状況
- 世界的には急速に拡大中で、NB.1.8.1は世界のCOVID-19症例のおよそ10.7%を占めるとの報告もあります。
- アメリカでは 6月7日までの2週間で全体の37%を占めると推定され、急速に増加しているとのデータもあります。
- 日本全国では、8週連続で感染者数が増加中で、ニンバス株の割合はおよそ 4割 に及ぶとの報告もあります。
- 東京をはじめ関東の一部地域では、6月中~7月第2週までの間、ほぼ100%がNB.1.8.1であったと報告されています。

国⽴感染症研究所; 全国のゲノムサーベイランスによる系統別検出状況より抜粋
岐阜県における NB.1.8.1(ニンバス株)の状況
東海・岐阜県での「支配株化」
- 東海地方(岐阜県を含む)では、ニンバス株(NB.1.8.1)が現在、地域を支配する株となっています。GISAIDへのゲノムサーベイランス報告が岐阜県では継続されており、岐阜からもNB.1.8.1支配株化の状況が確認されています。
今後の見通し
- 第13波にあたる夏季の感染急拡大が東海地方で観測されており、岐阜県ではその開始が22週(2025年5月26日〜6月1日)と推定されています。
- 感染急拡大のピークは、第33週(8月11日〜17日)と見込まれており、まさに現在(2025年8月中旬頃)がピークに差し掛かっている可能性があります。
- 医療機関の“定点あたり報告数”(定点数値)は、8月4日〜10日(32週)で岐阜県は 6.80 を記録しており、東海各県の中でも高めの値となっています
主な症状と特徴
- 一般的なCOVID‑19症状(発熱、咳、鼻水、倦怠感など)に加えて、特に 「喉にカミソリの刃が刺さるような鋭い痛み」 を訴えるケースが多く報告されています。
- 海外(英国など)でも、喉の奥に鋭く刺すような痛みが特徴的な症状として報告されています。発疹やリンパ節の腫れを伴う例もありますが、重症化のリスクは現在のところ、他株と比べて高いとはされていません。
- 味覚・嗅覚障害は従来株より少ない傾向があり、多くの患者は軽症で、数日で改善するケースが多いとされています。
夏にも広がる理由と対策
- かつては「コロナ=冬の感染症」と言われていましたが、現在は夏にも流行する季節性のウイルスと変わってきています。
- 特に夏はエアコンによる 室内の乾燥や換気不足 が喉の防御力低下を招き、感染リスクを高めます。
予防のためにできること
基本的感染対策
- 手洗い・うがい、マスクの着用、定期的な換気を心がけましょう。
- エアコン使用時には 部屋の加湿 や 水分補給 を意識して、喉の乾燥を防ぎましょう。
早めの受診
- 強い喉の痛みや発熱がある場合は、無理せず医療機関へ相談・受診することが重要です
高リスク者への配慮
- 家庭内に高齢者や基礎疾患のある方がいる場合は、換気・マスク・手指衛生を徹底しましょう。
お盆休みと感染拡大の関連
人の移動が増える
- 帰省・旅行・レジャーなどで、通常以上に人の往来が増加します。
- 岐阜県でも、観光地や高速道路、駅周辺での人出が明らかに増えており、感染拡大が懸念されます。
飲食や集団での交流が増える
- 帰省や同窓会、法事などの機会で、「マスクを外す状況が増える」「高齢者との接触が多くなる」といったリスクが上昇します。
- 特に冷房の効いた密閉空間では、喉の乾燥と換気不足が重なり、感染リスクがさらに高まります。
ウイルスの潜伏期間と重なる
- コロナウイルスの潜伏期間は通常2~5日。つまり、お盆(8月10〜18日頃)の人流増加は、「8月後半に感染者数がさらに増える要因」となりうるタイミングです。
まとめ
ニンバス株(NB.1.8.1)は、これまでの変異株と比べても感染力が強く、特に「喉の鋭い痛み」といった特徴的な症状を伴うことがあります。岐阜県ではすでにこの株が主流となり、現在は第13波のピークに差し掛かっている可能性が高い状況です。
お盆期間中の人の移動や交流の増加は、さらなる感染拡大の引き金になるかもしれません。ですが、手洗いやうがい、マスク、加湿などの基本的な感染対策をしっかりすること、そして体調に異変を感じたら早めに受診することが、感染の拡大と重症化を防ぐ第一歩です。
この時期は、家族や友人との大切な時間が増える反面、感染症の広がりも加速しやすいタイミングです。体調に不安がある方は、無理をせず早めにご相談ください。