麻黄湯(まおうとう)は、風邪の初期症状の中でも「悪寒・発熱・頭痛・関節痛」などが強いときに使われる漢方薬です。特に「寒気がして汗が出ない」「咳が出て、体がこわばる」といった“風寒(ふうかん)”タイプの風邪に適しています。
こんな症状に使われます
- 発熱と悪寒が同時にある
- 汗が出ない、寒気が強い
- 頭痛、節々の痛み
- 咳、鼻水(寒冷刺激で悪化)
- インフルエンザ様症状の初期
高熱や関節痛を伴う風邪の初期段階で、早期に服用することで症状の進行を防ぐことが期待されます。
中医学的な見方
麻黄湯は、中医学でいう「太陽病・表寒実証(ひょうかんじっしょう)」に対して用いる代表的な処方です。風寒の邪気が体表に侵入し、衛気(えき)が閉塞して発汗できず、寒気・こわばり・咳などが出る状態に対し、発汗を促して邪気を排出するのが目的です。
成分と作用
4種のシンプルな構成で、強力かつ速効性があります:
- 麻黄(まおう):発汗・解熱・気管支拡張作用
- 桂皮(けいひ):血行促進と保温作用
- 杏仁(きょうにん):咳止め・去痰作用
- 甘草(かんぞう):炎症緩和とバランス調整
この組み合わせにより、冷えや咳・関節痛を伴う風邪の“実証”タイプに効果的です。
使用上の注意
- 副作用:動悸、不眠、食欲不振、発汗過多、発疹などが報告されています。
- 体質との相性:体力がない方(虚証)や発汗している人、発熱のみで悪寒がない人には不向きです。
- 慎重投与:高血圧、心疾患、不整脈、甲状腺機能亢進症の方は麻黄の影響により注意が必要です。
自己判断での使用は避け、適応症状と体質に応じて選択する必要があります。
最後に
麻黄湯は、「寒気がして高熱が出る」「ゾクゾクするのに汗が出ない」といった風邪の初期に、邪気を一気に外に出す“攻めの漢方”として用いられます。体質や既往歴によって合わない場合もあるため、気になる症状がある場合は、ぜひご相談ください。