( 診療案内 )

悪性リンパ腫

タイプによって治療法が異なるため、正確な診断が重要です

「悪性リンパ腫」は、血液のがんのひとつです。
白血球の一種である「リンパ球」ががん化し、リンパ節や脾臓、骨髄、消化管など全身のリンパ系組織に広がっていく病気です。

近年では発症する方が増えており、日本での年間発症数は約3〜4万人と推計されています。誰にでも起こりうる病気として、正しい理解がますます重要になってきています。

悪性リンパ腫は、進行が早く緊急性を要するタイプ(高悪性度)から、ゆっくりと経過し長期的な経過観察が中心となるタイプ(低悪性度)まで、実にさまざまな種類があります。
そのため、しっかりとした診断が大切になります。

また、リンパ腫の病型によっては、抗がん剤や抗体療法などの薬物療法が特に効果を発揮しやすいという特徴があり、適切な治療によって完治が十分に目指せる疾患でもあります。

このページでは、悪性リンパ腫の概要と当院でのサポート体制についてご紹介します。

悪性リンパ腫とは?

悪性リンパ腫は、血液の「がん」の一種です。
免疫をつかさどるリンパ球(白血球の一種)ががん化し、リンパ節や体内のさまざまな場所で増殖していく病気です。

日本では年間約3〜4万人が診断されており、年々増加傾向にあります。

症状

悪性リンパ腫の症状は、初期には気づきにくいこともあります。以下のような症状がある場合は、早めにご相談ください。

  • 首・脇・足のつけ根などの「しこり(リンパ節の腫れ)」
  • 原因不明の発熱が続く
  • 寝汗(特に夜中に下着がびっしょり濡れるほど)
  • 急な体重減少(半年で10%以上)
  • 倦怠感・息切れ・皮膚のかゆみ など

分類

悪性リンパ腫は、大きく分けて以下の2つのタイプに分類されます。

ホジキンリンパ腫

比較的まれながんで、若年者と高齢者に多くみられます。
化学療法や放射線療法に反応しやすく、治療成績は良好です。

非ホジキンリンパ腫

日本人に多く、非常に多様なタイプが存在します。
進行のスピードや治療方針もそれぞれ異なるため、正確な診断が非常に重要です。

診断と検査

悪性リンパ腫の診断には、以下のような検査が行われます。

  • 血液検査(LDH、可溶性IL-2レセプターなど)
  • CT検査・PET検査(病変の広がりを確認)
  • リンパ節生検(がん細胞の性質を詳しく調べる、最も大切な検査)
  • 骨髄検査(病気の広がりをチェック)

治療法

リンパ腫の治療は、「病型」と「進行度」に応じて組み合わせて行われます。

抗がん剤治療(化学療法)

悪性リンパ腫治療の軸となる治療法です。
多くの場合、複数の薬を組み合わせた「多剤併用療法」が行われます。
例:R-CHOP療法など

抗体療法・分子標的治療

がん細胞の表面にある特定の分子を狙い撃ちする薬。
抗がん剤と併用されることが多いです。
近年では2つの分子を標的とした二重特異性抗体製剤(BiTE)も発売され、再発・難治症例に使用されています。

放射線治療

病変が限局している場合に使用されることがあります。

造血幹細胞移植

再発や難治性の場合に選択される治療です。

細胞療法(CAR-T療法)

CAR-T療法は、患者さん自身の免疫細胞であるT細胞を遺伝子改変し、がん細胞を特異的に攻撃する能力を強化して体内に戻す、新しい細胞免疫療法です。再発・難治性の悪性リンパ腫に対して行う治療です。

いろはなクリニックで出来ること

いろはなクリニックでは、血液内科専門医としての経験を活かし、地域の皆さんに以下のようなサポートを行っています。

早期発見

  • 「リンパの腫れ」「原因不明の熱」などの症状に気づき、採血や診察で早期に悪性リンパ腫の可能性を見極めます
  • 必要に応じて連携医療機関(高度医療機関)への迅速な紹介を行います

抗がん剤治療中の「支持療法」

  • G-CSF製剤の投与(白血球減少を防ぐ注射)
  • 発熱・倦怠感・吐き気などの副作用への対応

治療後のフォローアップ

  • 定期的な血液検査・診察による再発チェック
  • 不安や体調不良など、治療後の“見えにくい不調”への対応
  • 必要時には基幹病院との再連携もスムーズに行えます

高度医療機関と連携した診療を行います。身近な窓口としてご活用ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 悪性リンパ腫は治る病気ですか?
A. はい。特にホジキンリンパ腫や一部の非ホジキンリンパ腫では、完治も十分に期待できます。ただし、タイプや進行度によって異なるため、早期発見・適切な治療が大切です。

Q. いろはなクリニックだけで治療はできますか?
A. 抗がん剤治療などの中心的な治療は、高度医療機関での対応が基本となります。
当院では診断のきっかけ作り、治療中の副作用対応、治療後の経過観察などを行っています。

まとめ

悪性リンパ腫と診断されると、不安に感じるのは自然なことです。
しかし近年では、新しい治療薬や個別化医療の進歩により、以前よりも高い確率で治療効果が得られるようになっています。

いろはなクリニックでは、早期発見・早期対応から、治療中・治療後のサポートまで、切れ目のない支援を目指しています。

「これって大丈夫かな?」
そんな小さな疑問でも、お気軽にご相談ください。

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