( 診療案内 )

【栄養療法の視点】過敏性腸症候群

「またお腹が…」その悩み、我慢していませんか?

「緊張するとすぐにお腹がゆるくなる」
「朝の通勤前にトイレが心配で外出が億劫」
「検査では異常なし。でも下痢がずっと続いている」

そんなお腹のトラブルに悩まされている方へ。
もしかするとそれは、過敏性腸症候群(IBS)のサインかもしれません。

オーソモレキュラー栄養医学では、IBSを「心と腸と栄養のバランスの乱れ」と捉え、内側から丁寧に整えることを目指します。

「過敏な腸」をつくる3つの背景

IBS(とくに下痢型)の背景には、以下のような多層的な生理的ストレスが関与しています。

腸内環境の乱れと粘膜バリアの破綻

下痢型IBSでは、腸の粘膜が“炎症が起こりやすい”、“刺激に過敏”になっている状態です。
食品添加物、グルテン、小麦、乳製品、アルコールなどが腸内フローラを乱し、バリア機能の破綻を招きます。

これらの結果、腸の粘膜が荒れて、水分調整ができず、下痢を引き起こします。

自律神経とストレス応答のアンバランス

腸は「第二の脳」と呼ばれ、自律神経に強く支配されています。
慢性的なストレスや睡眠不足により、交感神経優位→腸の運動が過剰になります。

また、副腎疲労や、ストレスによるコルチゾール分泌の異常も、腸の過敏さに関与します。

栄養不足による腸の回復力の低下

腸粘膜や神経系を修復・安定させるには、亜鉛、ビタミンA、グルタミン、マグネシウム、ビタミンB群などの栄養素が不可欠です。

これらが不足すると、炎症が長引き、腸の恒常性が保てなくなります

栄養療法でできること

IBSは、単なる「過敏」ではなく、体の内側で起きている未解決の炎症・消化吸収不良・ストレス過剰反応ととらえます。これらの問題の根本を改善することを目指します。

血液検査

  • アルブミン/総蛋白(消化吸収力)
  • フェリチン/亜鉛/マグネシウム(粘膜修復)
  • AST/ALT/γ-GTP(代謝力・肝機能)
  • CRP・好酸球(慢性炎症)
  • ビタミンD(免疫調整)

IBSの背景にある「栄養の欠乏」や「慢性的な炎症状態」を可視化します。

医療用サプリメントによる栄養補充

  • グルタミン:腸粘膜の修復と炎症抑制
  • 亜鉛/ビタミンA/ビタミンD:粘膜と免疫の安定化
  • マグネシウム:神経の安定・腸の過緊張緩和
  • ビタミンB群:ストレス応答、エネルギー代謝のサポート

生活のポイント

  • 咀嚼をしっかり。早食い・ながら食べを避ける
  • 寝る3時間前には食事を済ませる
  • 冷たい飲み物や刺激物(カフェイン・アルコール)を控える
  • ストレスコーピング(呼吸法・マインドフルネスなど)を取り入れる
  • 寝不足と過労を避け、朝の太陽光を浴びる(自律神経リセット)

まとめ

過敏性腸症候群は

  • 消化がうまくいかない
  • 栄養が足りていない
  • ストレスが処理しきれない

そんな「体と心のアンバランス」を、腸が代弁している状態です。

“とりあえず整腸剤”では解決できない慢性下痢。
オーソモレキュラー栄養医学の視点から、根本から立て直すことが可能です。

腸の不調は、ただの“お腹の問題”ではなく、体全体からのメッセージです。
当院では、丁寧なカウンセリングと栄養評価をもとに、一人ひとりに合った改善プランをご提案しています。