「突然、息苦しくなって動悸が止まらない」
「人前や電車内で不安が押し寄せてくる」
「また起こるのでは…という予期不安で、外出がこわい」
こうした症状に悩まされている方は、不安障害やパニック障害の可能性があります。
一見“心の問題”のように見えますが、オーソモレキュラー栄養医学では、脳の神経伝達物質と栄養バランスの崩れによって引き起こされる“体の反応”と捉えます。
このページでは、栄養療法の視点で不安障害・パニック障害を解説します。
「不安な脳」ができる背景
パニック発作や慢性的な不安感は、「気のせい」ではなく、脳の神経系が“興奮しやすく鎮まりにくい”状態になっていることが原因です。
以下の3つが大きく関与しています。
セロトニン・GABAの合成低下
- 不安を抑える神経伝達物質「セロトニン」や「GABA(ギャバ)」が十分に働いていないと、ちょっとした刺激で心が揺れやすくなります。
- これらの合成には、トリプトファン(アミノ酸)・ビタミンB6・マグネシウム・鉄・亜鉛などが不可欠。
たんぱく質不足、胃腸の不調、栄養の吸収力の低下などが影響します。
血糖値の乱れによるアドレナリン過剰
- 空腹や甘い物の食べ過ぎで血糖値が乱高下すると、交感神経が過敏に反応し、手の震え・動悸・不安感が出やすくなります。
「お腹が空くと不安になる」「甘いものがやめられない」という方は要注意です。
副腎疲労と自律神経の乱れ
- 慢性的なストレスにより“副腎”が疲弊すると、コルチゾール(抗ストレスホルモン)の分泌が乱れ、感情の起伏をコントロールしづらくなります。
睡眠不足、刺激物の摂りすぎ、心の緊張状態が続くと、負のループに陥りやすくなります。
栄養療法でできること
不安やパニックの症状は、「こころの問題」だけでなく、“栄養”という物理的な問題からも起こり得るという視点が重要です。
血液検査
- フェリチン(鉄)/亜鉛/マグネシウム:神経の安定に必須
- ビタミンB6/ナイアシン/葉酸:神経伝達物質の合成に関与
- 血糖指標(空腹時血糖・インスリン・HbA1c):急な不安と関係
- AST/ALT/γ-GTP:代謝力や肝臓でのホルモン処理能力
- ビタミンD/CRP:炎症性ストレスの指標
医療用サプリメントで栄養補充
- トリプトファン/5-HTP:セロトニンの前駆体
- GABA/グリシン/テアニン:神経の鎮静に役立つアミノ酸
- ビタミンB6/B3(ナイアシン):神経系の代謝サポート
- マグネシウム:興奮を抑える“天然の精神安定ミネラル”
- 鉄/亜鉛:脳と自律神経の調整
- ビタミンD/オメガ3脂肪酸:炎症と気分の安定に有効
生活習慣のポイント
- 朝食を抜かない(血糖安定・セロトニン合成のリズムづくり)
- 深い呼吸・軽い運動を取り入れる(交感神経の過緊張を解除)
- 毎食にたんぱく質を取り入れる(魚、卵、大豆、肉など)
- 精製糖質・カフェイン・アルコールの摂取を見直す
- 食事と食事の間を空けすぎず、血糖の安定を意識する
- 寝る1〜2時間前はスマホを見ない
- 「大丈夫」と思える“栄養的安心感”をつくる
まとめ
不安やパニックは、心の弱さや性格ではなく、「脳が必要な栄養を受け取れていない」というサインかもしれません。
オーソモレキュラー栄養医学は、不安を「脳と神経の代謝の問題」として科学的にとらえ、栄養から根本的に整えていく手段を提供します。