( 診療案内 )

熱中症

命を守るために知っておきたい、熱中症の話

ここ数年、皆さんも「夏が以上に暑い」と感じているのではないでしょうか?

気象庁のデータでも、近年の日本の夏は平均気温が大きく上昇しており、35℃を超える「猛暑日」や、夜間も気温が下がらない「熱帯夜」が増えています。さらに、都市部ではアスファルトやビルの影響で「ヒートアイランド現象」も進み、体感温度はさらに高くなります。

このような環境の変化により、熱中症のリスクは年々高まっています。

とくに以下のような方々は要注意です:

  • 高齢者や小さなお子さん
  • 持病のある方(心臓・腎臓・精神疾患など)
  • 屋外で働く方やスポーツをする方
  • 一人暮らしでエアコンを我慢しがちな方

熱中症は、誰でも、どこでも、突然起こる「命に関わる状態」です。
「ちょっと暑いだけ」「水を飲めば大丈夫」と油断せず、正しい知識と備えをもって、暑い夏を安全に過ごしましょう。

このページでは、熱中症の種類や症状、予防法、経口補水液とスポーツドリンクの違いまで、わかりやすくご紹介します。ぜひ最後までご覧いただき、ご自身と大切な人の健康を守るヒントにしてください。

熱中症とは?

熱中症は、暑さによって体温調整がうまくできなくなり、体の中のバランスが崩れてしまう状態です。
様々な症状が出現しますが、症状別に4つに分類されています。

種類主な症状
熱失神めまい、ふらつき、立ちくらみ
熱けいれん手足の筋肉がつる(こむら返り)
熱疲労頭痛、吐き気、全身のだるさ
熱射病(最重症)意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない

「熱中症」と「熱射病」の違いとは?

熱射病は、熱中症の中でも命に関わる最重症の状態です。

  • 深部体温が40℃以上
  • 意識がもうろうとする
  • 肝臓や腎臓などの臓器にも影響が出ていることがある

特に高齢者や、運動中の若年者に発症のリスクがあります。すぐに治療を開始しないと、命を落とす危険もあります。

こんな方は要注意!熱中症のリスクが高い人

  • 高齢者、乳幼児
  • 一人暮らしでクーラーを使わない人
  • 心臓・腎臓・精神疾患のある人
  • 利尿剤など脱水を助長する薬を服用している人

また、寝たきりの方や、普段外に出ない方もリスクが高いので注意が必要です。

対策の基本は「冷やす・飲む・避ける」

熱中症を防ぐためには、以下の3つがカギになります。

① 体を冷やす

  • 涼しい部屋(エアコンを活用!)に移動する
  • 首、わき、足の付け根などを冷やす
  • 強い症状があれば救急車を呼ぶ

② 水分と塩分をとる

  • こまめに水分をとりましょう(のどが渇く前に!)
  • 水分だけではなく、塩分タブレットなどで塩分の補充も
  • 多く汗をかいたら、経口補水液(OS-1など)が効果的

③ 暑さを避ける

  • 外出はなるべく朝夕に
  • 帽子・日傘を活用
  • 室内でもクーラーを使って室温28℃以下をキープ

経口補水液とスポーツドリンク

熱中症対策には「水分補給」が大切です。
でも、「経口補水液とスポーツドリンク、どう違うの?」と迷われる方も多いのではないでしょうか?

実はこの2つ、見た目は似ていますが、目的も成分も違います

主な違いを表にまとめると…

項目経口補水液(OS-1など)スポーツドリンク(ポカリなど)
目的脱水症の治療脱水の予防や運動時の水分補給
ナトリウム(塩分)多め(約100〜130mg/100ml)少なめ(約20〜40mg/100ml)
糖分(エネルギー)控えめ(ブドウ糖中心)やや多め(砂糖が主成分)
味の特徴しょっぱくてやや飲みにくい甘くて飲みやすい
適した場面熱中症、発熱、下痢・嘔吐など運動時、軽い脱水のとき

状況に合わせて使い分けを

  • 熱中症の症状があるときや、発熱・下痢でぐったりしているときは、経口補水液がおすすめです。
  • 一方で、暑い日に運動したあとや、軽く汗をかいた後などは、飲みやすいスポーツドリンクでの水分補給でも十分です。

飲みすぎにも注意

  • 経口補水液は電解質(ナトリウムやカリウムなど)が多めなので、腎臓病のある方は注意が必要です
  • スポーツドリンクは糖分が多めなので、糖尿病の方や体重が気になる方は控えめにしましょう。

もし熱中症になってしまったら?

意識がある軽症の方に対して、当院では点滴による水分と電解質の補給が可能です。
熱中症の症状が疑われる場合は、無理をせず早めの受診をお勧めします。
重い症状がある場合は、緊急での治療が必要です。迷わずすぐに、救急車を呼びましょう。

再発を防ぐために

熱中症になったあとは、少なくとも1〜2日は高温の環境を避けることが大切です。
また、体が暑さに慣れるには時間がかかります。「暑熱順化」といって、毎日少しずつ暑さに慣らすことが、再発予防にもなります。

まとめ

「これって熱中症かも?」と感じたら、我慢せず早めの相談が大切です。
いろはなクリニックでは、症状に応じて点滴や検査、生活環境のアドバイスなど、丁寧に対応いたします。

ご自身とご家族の健康を守るため、正しい知識を持って、この夏を乗り切りましょう!