季節の変わり目になると、「くしゃみが止まらない」「鼻水がダラダラ」「鼻がつまって息苦しい」…そんな症状でお困りの方、いらっしゃいませんか?
それ、もしかすると「アレルギー性鼻炎」かもしれません。
このページでは、アレルギー性鼻炎の解説と、アレルギー性鼻炎の根本治療として注目されている、舌下免疫療法について解説をします。
アレルギー性鼻炎とは?
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)によって、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が引き起こされる病気です。日本では、大きく2種類に分けられます。
- 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症):スギ、ヒノキ、ブタクサなど、季節ごとに飛散する花粉が原因。
- 通年性アレルギー性鼻炎:ダニやハウスダスト、ペットなど、年間を通して存在するものが原因。
診断の流れ
「風邪かな?」と思っていたけど、症状が長引いている場合、アレルギーの可能性があります。診断には、以下のような方法を用います。
- 問診:症状が出る時期や場所、家族歴、ペットの有無などを確認します。
- 鼻の中の診察:粘膜の色や腫れ具合、鼻水の性状をチェックします。
- 血液検査(特異的IgE抗体測定):どのアレルゲンに反応しているかを調べます。
- 鼻汁中の好酸球検査:アレルギー反応の有無を確認します。
治療の基本
アレルギー性鼻炎の治療は、「症状を和らげる」ことと、「原因を取り除く」ことの2本柱です。
薬物療法
まず最初に用いられるのが、第2世代抗ヒスタミン薬というお薬です。最近のものは眠気が少なく、安心して使えます。他にも以下の薬が使われます。
- 抗ロイコトリエン薬:鼻づまりに特に効果的
- 鼻噴霧用ステロイド薬:症状が強いときに
- 漢方薬(小青竜湯など):体質に合えば効果が期待できます
アレルゲンを避ける
原因物質(アレルゲン)に近づかないようにすることも大切です。たとえば、
- 花粉の季節はマスク・メガネで防御
- 室内の掃除や換気をしっかり行う
- ペットの毛やダニ対策に、寝具やカーペットを清潔に保つ
舌下免疫療法(根本治療)
体をアレルゲンに慣らしていく「免疫療法」も注目されています。スギやダニが原因の場合には、舌下免疫療法という方法があり、5歳以上の方が対象です。数年かけて行いますが、根本から体質改善を目指せます。
手術療法(重症例)
鼻づまりがひどく、薬では改善しない場合には、レーザー治療や下鼻甲介粘膜の手術といった選択肢もあります。
根本治療を目指す「舌下免疫療法」とは?
舌下免疫療法とは?
舌下免疫療法は、アレルゲン(アレルギーの原因物質)を少しずつ体に取り入れて、体をアレルゲンに慣らしていく治療法です。薬で一時的に症状を抑えるのではなく、アレルギー体質そのものを改善することを目的としています。
治療は、アレルゲンを含んだ錠剤を毎日1回、舌の下に置いて服用することで行います。
いろはなクリニックは、岐阜市民病院と連携の元、舌下免疫療法を実施しています。
対象となるアレルゲン
現在、保険適用があるのは以下の2つです:
- スギ花粉症
- ダニ(ハウスダスト)アレルギー
いずれも、5歳以上の方が対象です。
治療の流れ
- 血液検査で、アレルギーの原因を確認
- 診察で適応を判断
- まず少量から始め、徐々に慣らしていきます
- 毎日1回、自宅で服用を継続します
治療期間は3~5年が推奨されており、継続することで8割の方に効果があるとされています。
舌下免疫療法のメリット
- アレルギー体質の根本改善が期待できる
- 継続すれば、花粉症の症状がほとんど出なくなる方も
- 家庭で服用できるので通院の手間が少ない
注意点・デメリット
- すぐに効果が出る治療ではありません(効果が実感できるまでに数カ月かかることがあります)
- 毎日欠かさず服用する必要があります
- 口の中のかゆみ、軽い腫れなどの副作用が一時的に出ることがあります
- 全身的な重い副反応(アナフィラキシー)はまれですが、初回は医療機関で服用し、30分程度経過観察が必要です
こんな方におすすめです
- 花粉症の症状がつらくて、毎年悩まされている
- 薬を飲んでも効果が薄い、あるいは副作用がつらい
- 子どものころからアレルギーがある
- 将来的に、薬に頼らない生活を目指したい
以下の方は危険性があるため、舌下免疫療法を実施できません
- 重症気管支喘息の方
- 妊婦の方、授乳中の方
- 抜歯や口の中の術後、または口の中に傷や炎症などがある方
- 全身性ステロイド薬の投与を受けている方
鳥居薬品の舌下免疫療法の解説サイト

こんなときはご相談ください
- 市販薬を使っても改善しない
- 夜間の鼻づまりで眠れない
- 子どもがいつも鼻水を垂らしている
- 毎年花粉症で生活がつらい
アレルギー性鼻炎は、日常生活の質(QOL)を大きく左右する病気です。でも、きちんと診断・治療を受ければ、症状を抑えることができます。我慢せず、ぜひお気軽にご相談ください。