( 診療案内 )

43. 六君子湯

六君子湯の解説です

胃のもたれ・食欲不振・吐き気…胃腸が弱っている方へ

六君子湯(りっくんしとう)は、胃の働きを整え、消化吸収を助ける漢方薬です。「食欲がない」「食べるとすぐに胃が重くなる」「胃がムカムカして吐き気がする」といった症状があるときによく使われます。特にストレスや加齢によって胃腸機能が落ちてきた方に適しています。

どんな時に使う?

このような症状があるときに処方することが多いです

  • 食欲不振、胃のもたれ
  • みぞおちのつかえ感や膨満感
  • 吐き気や嘔吐を繰り返す
  • 胃下垂、胃腸の働きが弱い体質
  • 慢性胃炎、機能性ディスペプシア(FD)

西洋医学的にも、「慢性胃腸障害」「神経性胃炎」「胃アトニー」などの症状緩和に利用されます。

六君子湯の中医学的な考え方

中医学では、六君子湯は「脾胃気虚(ひいききょ)」と呼ばれる、胃腸のエネルギー不足状態に対して使われます。気を補って脾(消化吸収機能)を強化し、同時に「痰湿(たんしつ)」という余分な水分や粘つきを取り除く作用もあります。

成分と作用

六君子湯は、基本の「四君子湯(しきんしとう)」に理気・去湿の薬を加えた処方です(ツムラ製剤):

  • 人参(にんじん)・白朮(びゃくじゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・甘草(かんぞう):脾胃を補って消化を助ける
  • 半夏(はんげ):吐き気や痰を抑える
  • 陳皮(ちんぴ):胃の気を巡らせ、膨満感を改善

使用上の注意

  • 副作用:まれに発疹、胃の不快感、下痢などが見られることがあります。
  • 併用注意:甘草の重複に注意(他の漢方やグリチルリチン製剤と併用する場合)。
  • 注意事項:高血圧、低カリウム血症、浮腫のある方では慎重投与が必要です。

胃腸の動きが改善されるまでに時間がかかることもあるため、根気よく続けることがポイントです。

最後に

六君子湯は、「胃が弱く、すぐに食べられなくなる」といった体質や、ストレスによる消化不良に対して、体の中からやさしくアプローチします。症状に合った処方が重要ですので、気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。