( 診療案内 )

24. 加味逍遥散

イライラ・不安・ほてり・冷え…ゆらぎやすい心と体に

加味逍遥散(かみしょうようさん)は、精神的なストレスやホルモンバランスの乱れによって起こる、心と体の不調をやわらげる漢方薬です。特に女性に多い「冷え・イライラ・のぼせ・不眠・月経不順」などが一度に起こるときに使われます。

こんな症状に使われます

  • イライラ、不安感、気分の落ち込み
  • 顔がほてるのに手足は冷える
  • 月経前後の不調(PMS、月経不順、月経困難症)
  • 更年期障害による心身のゆらぎ
  • 肩こり、頭重感、疲れやすさ

西洋医学的には「自律神経失調症」「更年期障害」「月経困難症」「神経症」などの診断を受けた方に対して処方することが多いです。

中医学的な見方

中医学では、加味逍遥散は「肝気鬱結(かんきうっけつ)」という、ストレスなどで気の流れが悪くなった状態を改善し、「気血の巡りを整える」処方とされています。

また、「肝(かん)」の働きを調整し、情緒の安定とホルモンバランスの正常化を助けます。冷えとほてりが同時にあるような“アンバランスな状態”に適しています。

成分と作用

加味逍遥散は、基本処方「逍遥散(しょうようさん)」に熱を冷ます生薬を加えたものです(ツムラ製剤):

  • 柴胡(さいこ)・薄荷(はっか):気の巡りを良くし、情緒の安定に
  • 当帰(とうき)・芍薬(しゃくやく):血を補い、月経の調整に
  • 茯苓(ぶくりょう)・白朮(びゃくじゅつ):水分代謝と脾(胃腸)を助ける
  • 牡丹皮(ぼたんぴ)・山梔子(さんしし):体内の“熱”やイライラを冷ます
  • 甘草(かんぞう):全体の調和をとる

使用上の注意

  • 副作用:発疹、下痢、胃部不快感、まれに肝機能障害などが報告されています。
  • 併用注意:甘草を含む製剤との併用で偽アルドステロン症のリスク。
  • 慎重投与:妊娠中は医師の判断が必要。冷え症が強すぎる場合には適さないことも。

使用中に気になる症状があれば、早めに医師・薬剤師に相談してください。

最後に

加味逍遥散は、日々のストレスやホルモンの変化に敏感な体にやさしく働きかけ、不調を根本から整える漢方薬です。「なんとなくつらい」を放置せず、ぜひご相談ください。