( 診療案内 )

25. 桂枝茯苓丸

桂枝茯苓丸の解説です

月経不順・生理痛・冷えとほてり…血の巡りが気になる方に

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、「血の巡りが悪い」ことからくるさまざまな不調を整える漢方薬です。特に月経トラブルや下腹部の違和感、肌荒れ、冷えやのぼせなどに用いられます。

女性に限らず、男性の痔や下腹部痛、慢性炎症にも応用されることがあります。

こんな症状に使われます

  • 月経不順、月経困難症
  • 月経前症候群(PMS)
  • のぼせと手足の冷えが同時にある
  • 慢性的な下腹部痛・肩こり・頭重感
  • 更年期障害のほてり・いらいら・不眠
  • にきび、しみ、肌荒れ
  • 子宮筋腫や卵巣嚢腫の補助療法

「冷えもあるけど、顔はほてる」「生理になるとお腹が張る」などの症状がある方に多く使われます。

中医学的な見方

桂枝茯苓丸は、中医学で「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血の滞りを改善する処方です。血の巡りが悪いことで起こる「痛み」「しこり」「肌トラブル」などに働きかけます。

また、「虚実中間」〜やや実証寄りの方に向き、体力はあるが、血流に偏りがあるタイプに適しています。

成分と作用

桂枝茯苓丸は、5つの生薬から成るシンプルな処方です:

  • 桂皮(けいひ):血流を改善し体を温める
  • 茯苓(ぶくりょう):水分代謝を整える
  • 桃仁(とうにん):血の滞り(瘀血)を改善
  • 芍薬(しゃくやく):痛みを和らげ、筋肉の緊張を緩める
  • 牡丹皮(ぼたんぴ):炎症と熱を鎮める

これらが協力し、血行を促進しながら、炎症や冷え、痛みを改善します。

使用上の注意

  • 副作用:胃の不快感、下痢、発疹、動悸などが報告されています。
  • 体質との相性:体力が極端にない(虚証)人には不向きな場合があります。
  • 併用注意:抗凝固薬(ワルファリン等)との併用は慎重に。出血傾向がある方は要注意。

服用中に異常を感じたら、すぐに医師や薬剤師へ相談してください。

最後に

桂枝茯苓丸は、体に「血の滞り」があることで起こる月経トラブルや慢性症状に対して、体質から見直す漢方薬です。「痛み止めやホルモン剤だけでは根本改善しない」と感じている方には、選択肢の一つとして役立つことがあります。体質との相性が重要ですので、気になる症状がある方は、ぜひご相談ください。