( 診療案内 )

12. 柴胡加竜骨牡蛎湯

イライラ・不安・不眠・動悸…ストレス過多な心と体に

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、精神的ストレスや緊張が続くことで起こる「イライラ」「不安感」「不眠」「動悸」「血圧の上昇」「怒りっぽさ」などの症状をやわらげる漢方薬です。心と体のバランスを整え、過剰な興奮状態を静めてくれる処方です。

こんな症状に使われます

  • 不眠、寝つきが悪い、眠りが浅い
  • 不安感、焦燥感、情緒不安定
  • 動悸、胸苦しさ
  • 高血圧にともなう頭痛やめまい
  • 神経過敏、怒りっぽい
  • 過緊張による肩こり・胃の不快感

西洋医学的には、「神経症」「高血圧」「更年期障害」「不眠症」「自律神経失調症」などに伴う心身症状の補助療法として用いられます。

中医学的な見方

中医学では、「肝鬱化火(かんうつかか)」や「気鬱・気逆(きうつ・きぎゃく)」といった、気の巡りの滞りから内熱が生じた状態と捉えます。柴胡加竜骨牡蛎湯は、気の巡りを整えつつ、興奮した「肝(かん)」の気を静め、心を落ち着ける処方です。

また、「腎虚(じんきょ)」による不安感・恐れにも配慮した構成になっており、心身のバランスを包括的に調整します。

成分と作用

この処方は、以下のような生薬で構成されています:

  • 柴胡・黄芩・半夏:気の巡りを整え、肝熱を鎮める
  • 大棗・人参・茯苓・桂皮:胃腸を支え、気血を補う
  • 竜骨・牡蛎:鎮静・安神作用、不安感や動悸を緩和
  • 生姜:消化を助け、体を温める

精神と身体の過剰な緊張を同時にほぐす、バランスのとれた処方です。

使用上の注意

  • 副作用:食欲不振、吐き気、発疹、動悸などがまれに報告されています。
  • 体質との相性:虚弱で冷えが強い方や、極度に消耗している方には合わないことがあります。
  • 併用注意:他の鎮静薬・降圧薬との併用時には血圧低下・眠気などに注意。

服用後に違和感がある場合は、医師・薬剤師に相談を。

最後に

柴胡加竜骨牡蛎湯は、「心と体が張りつめて休まらない」状態をやさしく整えてくれる漢方薬です。ストレス社会の中で、不眠や不安、血圧上昇に悩む方にとって、選択肢の一つとなります。気になる症状がある方は、一度ご相談ください。