「家族がインフルエンザにかかったけれど、自分は休めない」
「受験を控えていて、今は絶対に体調を崩したくない」
そんなとき、予防内服という選択肢があります。
インフルエンザの予防といえばワクチンが中心ですが、抗インフルエンザ薬を短期間服用して発症を防ぐ方法もあります。
これは「予防内服」と呼ばれ、感染の危険が高い環境で、医師の判断により期間限定で行う予防的治療です。
インフルエンザ流行の時期は受験シーズンと重なりますので、受験を控えた学生さんの家庭や学校での感染も懸念されます。ワクチンや手洗い・マスクに加えて、予防内服を選択肢として知って頂くため、このページではインフルエンザ予防内服について解説します。
予防内服とは?
インフルエンザウイルスへの感染を防ぐために、抗ウイルス薬をあらかじめ服用する方法です。
家庭・学校・施設などで感染者が出た場合に、医師の判断で処方が可能です。
代表的な薬剤と用法
薬剤名 | 剤形 | 用法(予防内服時) |
---|---|---|
オセルタミビル(タミフル) | カプセル/ドライシロップ | 1日1回 7〜10日間 |
ザナミビル(リレンザ) | 吸入薬 | 1日1回 10日間 |
ラニナミビル(イナビル) | 吸入薬 | 1回吸入のみ(長時間作用型) |
どんな場合に使われるのか?
予防内服は、すべての人に推奨されるわけではなく、感染リスクが高い人や環境で、医師が必要と判断した場合に処方します。
主な対象例
- 同居の家族にインフルエンザ患者がいる
- 高齢者・乳幼児・基礎疾患のある方が同居している
- 医療・介護・教育関係など、感染リスクの高い職種
- 受験を控えた学生で、家庭や学校で感染者が出ている場合
特に受験期(12〜2月)は流行ピークと重なるため、「家族が感染したが自分は試験直前」という場合は予防内服を行うことも選択肢となります。
注意点
予防投与の対象は添付文書上、「インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族または共同生活者である下記のものを対象とする」と記載されております。
- 高齢者(65歳以上)
- 慢性呼吸器疾患 または 慢性心不全患者
- 代謝性疾患患者(糖尿病等)
- 腎機能障害患者
添文書上、対象とならない方への予防投与の場合、大きな副作用などが生じた場合に厚生労働省の「医薬品副作用被害救済制度」の対象となりません。上記の適応にあてはまらない場合は適応外使用となり、自己責任での投与となりますが、予防投与を希望される場合はご相談ください。
ワクチンとの併用について
対策 | 目的 | 効果の持続 |
---|---|---|
ワクチン接種 | 免疫獲得・重症化予防 | 約5〜6か月 |
予防内服 | 一時的な発症抑制 | 服用期間中のみ |
どちらも併せて行うことで感染予防効果が高まります。
特に受験生では、10〜11月のワクチン接種+感染者との接触時の予防内服が有効と考えられます。
費用について(自費診療)
インフルエンザ予防内服は、健康保険の適用外(自費診療)です。
下記は当院での費用(税込)です。
項目 | 費用(税込) |
---|---|
初診料(はじめて受診される方) | 3,000円 |
再診料(受診歴のある方) | 1,000円 |
予防内服処方箋料 | 1,500円 |
薬剤費(薬局でのお支払い) | 3,000円〜 |
※薬剤費は使用する薬剤、薬局によって異なります。
※初診で、最も安価なオセルタミビルを使用する場合、薬剤費も含めたお支払いは約8,000円となります。
まとめ
- 抗インフルエンザ薬を用いた短期間の発症予防が「予防内服」。
- 感染リスクが高い場合に、医師が必要と判断すれば処方可能。
- 効果は服用中のみで、長期の予防効果は期待できない。
- 受験生・高齢者・基礎疾患のある方などでの感染防止に有効な場面あり。
- 自費診療(保険適用外)で、費用の目安は薬剤費込みで約8,000円。
インフルエンザの予防内服をご希望の場合は、いろはなクリニックへご相談ください。