「なんとなく疲れやすい」「立ちくらみがする」「顔色が悪いと言われる」——そんな経験はありませんか?それはもしかすると「貧血」が原因かもしれません。
貧血とは、血液中の赤血球やその中に含まれるヘモグロビン(酸素を運ぶタンパク質)が不足している状態を指します。つまり、体のすみずみまで酸素が届きにくくなるため、様々な不調が現れやすくなるのです。
貧血というと鉄分が足りない貧血を思い浮かべると思いますが、実は様々な原因が存在ます。このページでは、貧血について詳しく説明します。
貧血の主な症状
貧血の症状は「なんとなく体調が悪い」と感じる程度のことも多く、気づかれにくいことがあります。代表的な症状は以下のようなものです:
- 慢性的な疲れやすさ
- 息切れや動悸
- めまいや立ちくらみ
- 頭痛や集中力の低下
- 顔色が悪く見える
- 手足の冷えやしびれ
これらは年齢や体質によると思われがちですが、検査で貧血が見つかるケースも多くあります。
貧血には様々な原因があります
貧血と一口に言っても、その原因はさまざまです。貧血の原因を大きく3つの分けて解説します。
① 必要な栄養素の不足による貧血
血液をつくるためには、鉄・ビタミンB12・葉酸などの栄養素が欠かせません。これらが不足すると、赤血球がうまく作れなくなり、貧血が起こります。
代表的な疾患:
- 鉄欠乏性貧血:月経や出産による出血、胃腸の病気による鉄の吸収不良、偏った食生活などが原因です。
- ビタミンB12欠乏性貧血(悪性貧血):胃の手術後や高齢者に多く、神経症状が出ることもあります。
- 葉酸欠乏性貧血:妊娠中やアルコール多飲、特定の薬剤の影響で見られます。
※このタイプは、栄養や吸収の問題を見直すことで改善が期待できます。
② 赤血球を作る力が弱くなる貧血
赤血球は骨髄(こつずい)という場所でつくられます。この働きが落ちてしまうと、赤血球そのものが十分に作れなくなります。
代表的な疾患:
- 慢性疾患に伴う貧血:がんや腎臓病、関節リウマチなど、慢性の炎症や病気があると、赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)が減少したり、鉄の利用が妨げられたりします。
- 再生不良性貧血:骨髄の働き自体が低下する病気で、白血球や血小板も一緒に減少することがあります。
- 骨髄異形成症候群(MDS):高齢者に多く、骨髄に異常が出て、血液がうまく作られなくなる病気です。
- 白血病などの造血器腫瘍:血液をつくる工場である骨髄に異常な細胞が増殖することで、赤血球を含めた正常な血液を作る力が弱まります。
※このタイプは、背景にある病気の治療や、専門的な管理が必要になることがあります。
③ 赤血球が壊れることで起こる貧血
正常に作られた赤血球が、何らかの原因で通常より早く壊されてしまうことで起こる貧血です。これを「溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)」と呼びます。
代表的なもの:
- 自己免疫性溶血性貧血:体の免疫が自分の赤血球を攻撃してしまう状態です。
- 遺伝性溶血性貧血:先天的に赤血球が壊れやすい体質で、生まれつきの病気が関係しています。
- 感染症や薬剤による溶血:一部の感染症や薬剤によって赤血球が壊れやすくなることがあります。
※このタイプでは、急性期には早急な治療が必要な場合がありますので、連携医療機関での治療をご提案させて頂きます。
当院では、まず「なぜ貧血になったのか?」を探ります
貧血は「血が足りない」という結果だけでなく、「なぜそうなったのか」という原因の見極めがとても大切です。
いろはなクリニックでは、
- 詳細な血液検査による分析
- 必要に応じた消化器・婦人科疾患のスクリーニング
- 栄養状態の評価や、生活習慣の振り返り
などを通して、その方に合った原因と対策を一緒に考えていきます。
「検診で貧血と言われたけど放置している」「鉄剤を飲んでもよくならない」——そんな方も、ぜひ一度ご相談ください。