( 診療案内 )

子どものインフルエンザ

小児のインフルエンザウイルス感染症について解説します

お子さまが突然高い熱を出したり、ぐったりしていると、「インフルエンザではないか」「すぐ受診した方がよいのか」と心配になることがあります。

子どものインフルエンザでは、発熱や咳、全身のだるさだけでなく、乳幼児では水分がとれない、機嫌が悪い、嘔吐・下痢などの症状がみられることもあります。また、まれではありますが、インフルエンザ脳症などの重い合併症にも注意が必要です。

このページでは、子どものインフルエンザについて、受診の目安、検査や治療、家庭での対応、登園・登校を再開できる時期などを、保護者の方にわかりやすく解説します。

インフルエンザ全般の症状・検査・治療については、「インフルエンザ」のページでも詳しく解説しています。

目次

子どものインフルエンザでみられる症状

子どものインフルエンザでは、突然の発熱に加えて、咳、鼻水、のどの痛み、頭痛、筋肉痛、関節痛、強いだるさなどがみられます。

乳幼児では、自分で症状をうまく伝えられないため、次のような変化がみられることもあります。

  • いつもより元気がない、ぐったりしている
  • 食欲がない、ミルクや水分をとりたがらない
  • 機嫌が悪い
  • 嘔吐や下痢がある
  • 眠りがちで反応が鈍い

一方で、インフルエンザでも必ず高熱が出るとは限りません。周囲でインフルエンザが流行している場合や、家族・学校・園などで感染者との接触がある場合には、発熱の程度だけで判断せず、全身状態やそのほかの症状もあわせてみることが大切です。

受診の目安

インフルエンザの多くは自然に改善しますが、子どもでは脱水や呼吸状態の悪化、けいれん、インフルエンザ脳症などに注意が必要です。

次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 高熱が続いている
  • 咳が強く、呼吸が苦しそう
  • 食事や水分が十分にとれない
  • 尿の回数が少ない
  • 嘔吐を繰り返している
  • ぐったりして元気がない
  • 一度よくなったあとに、再び発熱したり症状が悪化した

すぐに医療機関を受診した方がよい症状

次のような症状がある場合は、インフルエンザ脳症や重い呼吸障害などの可能性もあるため、速やかな医療機関への受診が必要です。

  • 呼びかけても反応が悪い、意識がおかしい
  • けいれんが続く、または繰り返す
  • 意味の分からない言動や明らかな異常行動がある
  • 呼吸が非常に苦しそう、唇の色が悪い
  • 水分がほとんどとれない
  • 極端にぐったりしている

症状の強さだけでなく、「いつものお子さんと様子が明らかに違う」と感じる場合も、受診を検討してください。

検査について

インフルエンザが疑われる場合、必要に応じて迅速抗原検査を行います。

迅速抗原検査は、鼻の奥から検体を採取して、インフルエンザウイルスの抗原を調べる検査です。

発症して間もない時期はウイルス量が少なく、インフルエンザに感染していても検査が陰性になることがあります。そのため当院では、症状や経過にもよりますが、主に発症から12時間以上経過してからの検査を目安としています。

一方、抗インフルエンザ薬は、一般に発症から48時間以内に治療を開始すると効果が得られやすいとされています。そのため、検査の精度と治療開始のタイミングを考えると、発症から12〜48時間程度は受診を検討しやすい時期のひとつです。

ただし、症状が強い場合、呼吸が苦しそうな場合、水分がとれない場合、ぐったりしている場合などは、時間を待たずに受診してください。また、症状や周囲の流行状況によっては、発症から12時間以内でも検査を行うことがあります。

検査結果だけで診断を決めるのではなく、症状、発症からの時間、周囲の流行状況、家族・学校・園での感染状況などをあわせて総合的に判断します。

治療

インフルエンザの治療では、お子さんの年齢、症状の程度、基礎疾患の有無、発症からの時間などをみながら、抗インフルエンザ薬を使用するか判断します。

抗インフルエンザ薬は、原則として発症から48時間以内に開始することで効果が得られやすいとされています。一方、重症化する可能性が高い場合や症状が長引いている場合には、発症から48時間以上経過していても治療を検討することがあります。

特に、幼児、基礎疾患があるお子さん、呼吸器症状が強い場合などでは、抗インフルエンザ薬による治療が推奨されます。

一方で、インフルエンザは多くの場合自然に改善するため、すべてのお子さんに抗インフルエンザ薬が必要というわけではありません。症状や経過をみながら、治療の必要性を判断します。

使用する主な抗インフルエンザ薬

子どもに使用される抗インフルエンザ薬には、次のようなものがあります。

  • オセルタミビル(タミフル)
  • ザナミビル(リレンザ)
  • ラニナミビル(イナビル)
  • バロキサビル(ゾフルーザ)
  • ペラミビル(ラピアクタ)

薬の選択は、年齢や体重、吸入が可能かどうか、基礎疾患、インフルエンザの型などを考慮して決定します。

子どもに使用する主な抗インフルエンザ薬

薬剤投与方法投与回数・期間主な特徴・注意点
オセルタミビル
(タミフル)
内服1日2回・5日間乳幼児から使用しやすく、小児で広く使用される薬です。吐き気・嘔吐などの消化器症状がみられることがあります。
ザナミビル
(リレンザ)
吸入1日2回・5日間吸入が確実にできるお子さんに使用します。喘息など呼吸器疾患がある場合は注意が必要です。
ラニナミビル
(イナビル)
吸入原則1回1回の吸入で治療が終了する点が特徴です。確実に吸入できることが重要です。
ペラミビル
(ラピアクタ)
点滴原則1回内服や吸入が難しい場合や、症状が強い場合などに使用を検討します。
バロキサビル
(ゾフルーザ)
内服原則1回1回の内服で治療が終了します。小児では年齢やインフルエンザの型によって推奨度が異なるため、使用を慎重に判断します。

どの薬を使用するかは、年齢、体重、症状、基礎疾患、吸入が可能かどうか、インフルエンザの型などを考慮して判断します。

特にゾフルーザは、12歳以上ではA型・B型とも選択肢となりますが、6~11歳ではB型で使用が提案され、A型では慎重な判断が必要です。5歳以下では積極的な使用は推奨されていません。

インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症は、インフルエンザに伴って意識障害やけいれんなどの神経症状を起こす重い合併症です。主に小児でみられ、発熱から比較的早い時期に症状が現れることがあります。

次のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

  • 呼びかけても反応が悪い
  • 意識がもうろうとしている
  • けいれんが続く、または繰り返す
  • 意味の分からないことを話す
  • 普段とは明らかに違う異常な言動が続く
  • 極端にぐったりしている

インフルエンザに伴う一時的な高熱や寝ぼけ、短時間の異常な言動だけで、必ずしもインフルエンザ脳症とは限りません。ただし、意識状態がおかしい、反応が悪い、けいれんを伴うなどの場合には、様子をみすぎず受診することが大切です。

発熱時の「異常行動」への注意

インフルエンザにかかった子どもでは、発熱中に突然走り出す、意味の分からないことを話す、興奮するなどの異常行動がみられることがあります。

こうした異常行動は、抗インフルエンザ薬を使用しているかどうかにかかわらず起こることがあります。

特に、少なくとも発熱から2日間は、転落や飛び出しなどの事故につながる行動に注意して見守ることが大切です。

事故を防ぐため、次のような点に注意してください。

  • 子どもをできるだけ一人にしない
  • ベランダや窓に近づけないようにする
  • 玄関や窓の施錠を確認する
  • 階段や高い場所への移動に注意する

短時間の寝ぼけや一時的な言動の変化だけで、必ずしもインフルエンザ脳症とは限りません。ただし、呼びかけへの反応が悪い、意識がおかしい、けいれんを伴うなどの場合は、速やかに医療機関を受診してください。

登園・登校の基準(出席停止期間)

インフルエンザのあと、登園・登校はいつから?

インフルエンザにかかった場合は、学校保健安全法により、一定期間は出席停止となります。

小学生・中学生・高校生など

「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」は登校できません。

幼児(保育園・幼稚園など)

「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」が目安です。

「発症した日」は0日目として数え、翌日を1日目とします。解熱した日も0日目として数えるため、熱が下がった翌日から必要な日数を数えます。

例えば、小学生のお子さんが月曜日に発症し、水曜日に解熱した場合は、発症後5日と解熱後2日の両方を満たす必要があるため、最短でも日曜日までは出席停止となり、登校できるのは月曜日からとなります。

なお、園や学校によっては、登園・登校の際に療養報告書などの提出を求められる場合があります。必要な書類については、通っている園・学校にもご確認ください。

インフルエンザのときの家庭での過ごし方

インフルエンザでは、十分な休養と水分補給が大切です。食欲がない場合は、無理に食事をとらせる必要はありません。水分を少量ずつ、こまめにとるようにしましょう。

水分補給

発熱中は汗をかきやすく、脱水になりやすいため注意が必要です。

水、お茶、経口補水液など、飲めるものを少しずつ与えてください。尿の回数が極端に少ない、口の中が乾いている、水分をほとんどとれない場合は受診を検討してください。

食事

食欲がないときは無理に食べさせなくても構いません。食べられる場合は、消化しやすく本人が食べやすいものを少量ずつ与えてください。

解熱剤

発熱によってつらそうな場合には、解熱剤を使用することがあります。

子どものインフルエンザでは、一般にアセトアミノフェンが使用されます。年齢や体重に合った薬を、医師や薬剤師の指示に従って使用してください。

市販薬や家族に処方された薬を自己判断で使用しないようにしてください。

入浴

熱があっても、元気があり水分がとれている場合には、短時間のシャワーなどが可能なこともあります。

一方、ぐったりしている、寒気が強い、水分が十分にとれていない場合には無理に入浴する必要はありません。体調を優先してください。

家族への感染を防ぐために

インフルエンザは、咳やくしゃみなどによる飛沫や、ウイルスが付着した手指などを介して広がります。

  • こまめに手洗いをする
  • 咳やくしゃみをするときは口や鼻を覆う
  • 室内を適度に換気する
  • タオルやコップなどの共用をできるだけ避ける

などを心がけましょう。

インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンは、インフルエンザの発症を完全に防ぐものではありませんが、発症や重症化を予防する効果が期待できます。

特に小児では、インフルエンザに伴う高熱やけいれん、肺炎、インフルエンザ脳症などの合併症に注意が必要なため、流行前のワクチン接種を検討します。

接種回数や接種方法は年齢によって異なります。また、そのシーズンのワクチンの種類や接種対象、費用などは年度によって変更されることがあります。

当院でのインフルエンザワクチンの接種方法、対象年齢、費用、予約方法については、インフルエンザワクチンのご案内をご確認ください。

インフルエンザワクチンの詳細はこちら

岐阜市で子どものインフルエンザが疑われる場合

いろはなクリニックでは、子どもの発熱や咳、のどの痛み、だるさなど、インフルエンザが疑われる症状の診療を行っています。

診察では、症状の経過、発症からの時間、周囲の流行状況、家族・学校・園での感染状況などを確認し、必要に応じてインフルエンザの迅速抗原検査を行います。

検査結果だけでなく、お子さんの年齢や全身状態、基礎疾患の有無なども含めて総合的に判断し、必要に応じて抗インフルエンザ薬による治療を行います。

発熱がある場合の受診方法については、当院の発熱外来のご案内をご確認ください。

インフルエンザ全般の症状・検査・治療については、「インフルエンザ」のページでも詳しく解説しています。

子どものインフルエンザについてよくある質問

Q. 発熱してすぐでもインフルエンザの検査はできますか?

検査を行うことはできますが、発症して間もない時期はウイルス量が少なく、インフルエンザに感染していても陰性になることがあります。

当院では、症状や経過にもよりますが、主に発症から12時間以上経過してからの検査を目安としています。ただし、症状が強い場合や周囲の流行状況などによっては、12時間以内でも診察や検査を行うことがあります。


Q. インフルエンザの検査が陰性でも、実際には感染していることがありますか?

あります。

特に発症早期は、迅速抗原検査で陰性になることがあります。そのため、検査結果だけではなく、症状、発症からの時間、家族や学校・園での感染状況、地域の流行状況などをあわせて総合的に判断します。


Q. インフルエンザの治療はいつまでに始めればよいですか?

抗インフルエンザ薬は、一般に発症から48時間以内に開始すると効果が得られやすいとされています。

ただし、重症化する可能性が高い場合や症状が強い場合などには、48時間以上経過していても治療を検討することがあります。


Q. 子どもがインフルエンザになったら、必ず抗インフルエンザ薬を飲む必要がありますか?

必ずしもすべてのお子さんに抗インフルエンザ薬が必要というわけではありません。

年齢、症状の程度、基礎疾患の有無、発症からの時間などを考慮して、治療の必要性を判断します。幼児や基礎疾患のあるお子さん、呼吸器症状が強い場合などでは、抗インフルエンザ薬による治療を積極的に検討します。


Q. インフルエンザで熱が下がったら、すぐに学校や保育園へ行けますか?

すぐには登園・登校できません。

学校保健安全法施行規則では、原則として「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」が出席停止期間です。

幼児については、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」となります。

発症した日と解熱した日は0日目として数えます。


Q. 一度熱が下がったあと、また発熱した場合は受診した方がよいですか?

一度症状が改善したあとに再び発熱した場合は、再受診を検討してください。

インフルエンザの経過中に一時的に再発熱することもありますが、中耳炎や肺炎などの合併症、ほかの感染症などが隠れていることもあります。咳が強くなる、呼吸が苦しそう、ぐったりするなどの症状を伴う場合は、早めの受診をおすすめします。


Q. インフルエンザのときにお風呂に入ってもよいですか?

熱があっても、元気があり水分が十分にとれている場合には、短時間のシャワーなどが可能なこともあります。

ただし、ぐったりしている、寒気が強い、水分がとれていない場合には、無理に入浴する必要はありません。お子さんの体調を優先してください。


Q. インフルエンザのとき、解熱剤を使ってもよいですか?

発熱によってつらそうな場合には、解熱剤を使用することがあります。子どもでは一般にアセトアミノフェンが使用されます。

市販薬や家族に処方された薬を自己判断で使用せず、年齢や体重に合った薬を医師・薬剤師の指示に従って使用してください。


Q. インフルエンザの子どもに異常な言動がみられたらどうすればよいですか?

インフルエンザでは、発熱中に突然走り出す、意味の分からないことを話すなどの異常行動がみられることがあります。

抗インフルエンザ薬を使用しているかどうかにかかわらず、少なくとも発熱から2日間は転落や飛び出しなどの事故に注意して見守ってください。

呼びかけへの反応が悪い、意識がおかしい、けいれんを伴うなどの場合は、速やかに医療機関を受診してください。


Q. 兄弟や家族がインフルエンザになった場合、予防薬を使うことはできますか?

感染者との濃厚な接触があった場合、状況によっては抗インフルエンザ薬の予防内服を検討することがあります。

ただし、すべての方に予防内服が必要なわけではなく、年齢、基礎疾患、感染者との接触状況などを踏まえて判断します。

詳しくは「インフルエンザの予防内服」のページをご覧ください。

当院について

いろはなクリニックは、岐阜市則武東にある 内科・血液内科・小児科 のクリニックです。
私たちは、「いろ(その人らしさ)」「はな(笑顔・やさしさ・本来の健やかさ)」「ohana(家族や仲間のような支え合いの心)」を大切にし、医療を通じて安心とつながりが育まれる場を目指しています。
症状だけでなく、生活背景や価値観にも目を向けながら、一人ひとりにとって納得感のある医療をお届けします。
小さな不調や迷いの段階でも、どうぞ気軽にご相談ください。

編集・監修者

いろはなクリニック 院長 柴田 悠平

  • 医学博士
  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本血液学会 血液専門医・指導医
  • 日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医