( 診療案内 )

白血球の異常

白血球が増える?減る?

皆さんは健康診断などで「白血球の数が多いですね」あるいは「少ないですね」と言われたことはありませんか?
白血球は、私たちの体を守る“免疫の要”とも言える存在です。
しかし、数が多すぎても少なすぎても、体の中で何かが起きているサインかもしれません。
この記事では、白血球が増える・減る理由や、その変化が一時的なものなのか、それとも慢性的・永続的なものなのかという視点も含めて、わかりやすく解説します。

白血球とは?

白血球は、血液の中に含まれる細胞のひとつで、主に「体を守る」役割を担っています。
ウイルスや細菌などの外敵と戦う、いわば“体の警備員”のような存在です。

白血球には、いくつかの種類があります:

  • 好中球:細菌と戦う主力部隊
  • リンパ球:ウイルスに対する免疫を担う
  • 単球・好酸球・好塩基球:それぞれアレルギー反応や炎症に関与

これらがバランスよく働くことで、健康な体が保たれています。

白血球が「増える」場合

白血球が多くなることを「白血球増加症」と言います。
こんなときに白血球が増えることがあります:

  • 感染症(風邪、肺炎、尿路感染など):一時的に白血球が増えます
  • 炎症性疾患(リウマチ、潰瘍性大腸炎など):慢性的にやや高めになることがあります
  • ストレスや運動後:一時的な変化で、自然に元に戻ります
  • がん(白血病など):持続的かつ異常な増加で、治療を必要とします

一時的な増加と、永続的な増加

  • 一時的な増加は、体が何らかの刺激(感染やストレス)に反応しているだけで、多くは数日〜数週間で回復します。
  • 永続的な増加は、白血病や慢性炎症性疾患などが背景にある可能性があります。白血球の「中身(種類)」の精査が重要です。

白血球が「減る」場合

白血球が少なくなることを「白血球減少症」と呼びます。
以下のような原因があります:

  • ウイルス感染症(インフルエンザ、はしかなど):一時的に減少することがあります
  • 薬剤の副作用(抗がん剤、抗生物質など):薬の影響が終われば回復します
  • 自己免疫疾患や血液の病気:慢性あるいは永続的な白血球減少を引き起こします

一時的な減少と、永続的な減少

  • 一時的な減少は、感染や薬剤による一過性のもので、原因が解消すれば元に戻ります。
  • 永続的な減少は、骨髄の機能低下(再生不良性貧血など)や慢性疾患が疑われます。長期的な管理が必要です。

判断のポイント

白血球の変化が一時的か永続的かを見分けるためには、次のような情報が重要です

  • 経過観察:数日〜数週間で改善するかどうか
  • 症状の有無:発熱、倦怠感、出血傾向などがあるか
  • 他の血液データ:赤血球や血小板も変化していないか
  • 白血球の種類の内訳:特定の型ばかりが増減していないか
  • 既往歴や服薬歴:薬剤や慢性疾患の影響がないか

必要に応じて、骨髄検査や遺伝子検査など、専門的な検査を行うこともあります。
※当院では骨髄検査は実施しておりません。必要な場合は連携医療機関へご紹介させていただきます。

まとめ

白血球の数が変化するのは、体が何らかの異変を知らせてくれているサインです。
一時的な変化であれば心配はいりませんが、数週間以上続く場合や症状を伴う場合は、病気が隠れている可能性もあります。

いろはなクリニックでは、血液内科専門医としての経験を活かし、白血球の変化を詳しく丁寧に診療します。
「ちょっと気になるけど、受診するほどでもないかな」と思ったときこそ、どうぞ気軽にご相談ください。

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