( 診療案内 )

41. 補中益気湯

補中益気湯の解説です

疲れやすい・食欲がない・元気が出ない…そんな方に

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、元気が出ない、食欲がない、すぐに疲れてしまうといった「体のエネルギー(気)」が不足している状態に使われる漢方薬です。中国の古典医学書『内外傷弁惑論』に由来し、古くから「虚弱体質の改善」や「慢性疲労」に効果があるとされてきました。

どんな時に使う?

こんな症状がある方におすすめされることが多いです:

  • 少し動いただけですぐに疲れる
  • 食欲がない・胃がもたれやすい
  • 顔色が悪く、声に力がない
  • 朝なかなか起きられない
  • 長引く病気や術後で体力が落ちている

西洋医学的にも、「食欲不振」「倦怠感」「慢性疲労」「術後回復期」「神経症」などに対する補助療法として用いられます。

補中益気湯の中医学的な考え方

中医学では、体のエネルギーである「気(き)」が不足する「気虚(ききょ)」という状態を改善するために使われます。特に「脾(ひ)」と「肺(はい)」の働きを助け、消化吸収を整えて気を作り出し、全身に巡らせる力を高めます。

成分と作用

補中益気湯は、以下のような生薬から構成されています(ツムラ製剤):

  • 黄耆(おうぎ):免疫力を高め、気を補う
  • 人参(にんじん):消化吸収力を高める
  • 白朮(びゃくじゅつ):脾の機能を助ける
  • 当帰(とうき):血を補い体を温める
  • 陳皮(ちんぴ):胃腸の働きを整える
  • 柴胡(さいこ):気の巡りを良くする
  • 升麻(しょうま)・甘草(かんぞう)など:気を持ち上げ、全体のバランスを取る

使用上の注意

  • 副作用:まれに発疹、胃部不快感、下痢などが報告されています。
  • 併用注意:甘草を含む他の薬剤(例:グリチルリチン含有薬)との併用で偽アルドステロン症のリスクがあります。
  • 禁忌事項:むくみ、高血圧、肝機能障害のある方は注意が必要です。

服用中に異常を感じた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談してください。

最後に

補中益気湯は「なんとなく元気が出ない」という漠然とした不調に対して、体の根本から改善を目指す漢方薬です。体力や体質に応じた適切な使用が大切なので、気になる症状がある場合、ぜひ相談ください。